恋模様
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まだ練習前の体育館は、冷蔵庫並に寒い。
空気の抜けたボールはないかなって確認しながら体育館に運び出す。
夏からマネージャーとしてバスケ部に入部した私は、主に三軍を見ています。
一軍には桃ちゃんって素晴らしいマネージャーがついてますから。
三軍は同級生が多いからやりやすいし。
「朝比奈朝比奈っ」
「なに?」
ちょっとウキウキ顔のバスケ部員。私に寄ってきたと思うと、声をひそめて話しかけてきた。
「この前言ってたアレ、どうなった?」
「あーアレ、ないよそんなもの」
「はぁ何でだよ!」
「桃ちゃんの隠し撮り写メなんて、そんなことできるわけないじゃん」
「んだよこの役立たず!」
「代わりに私の面を提供してやるから」
「いらねーよお前のツラとか!見ても何も感じねーわ」
「ひっど!さっさと練習いってシバかれて来い!」
多分、こんな調子だから私はダメなんだろう。
こんなことを言わないから、桃ちゃんは同部内からもファンが出るのだろう。
でも、あんなことを言ってる男子も、部活が始まればただの男の子だ。
もう三学期。あっという間に学年があがる。
この一年、努力しても叶わなかった部員たち。
次こそはって意気込んでる人もいれば、正直向上心が欠けてる人もいる。
それでもきっとバスケが好きなんだろうな。楽しそうに練習してるよ。
いいなぁ。男の子って。
そんな風に思ってみたりする。