恋模様

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一年生が終わりました。
学年末テストをちょっと上がった成績で乗り越え、もう春休みです。
春休みなので、毎日一日中練習ができます。

でも今日はちょっと違って、とある学校へ向かってます。
練習試合をするために。

休みに入ってすぐ、三軍の練習試合が決定した。
三軍の試合なので一、二軍は学校で練習。今日のピンチヒッターは緑間君だ。
いや、ピンチシューターか。

バスに揺られて数十分。相手の学校に到着。
みんなは控室に案内されてアップを始める中、私はタオルやドリンクの準備。

その時だった。


「ねぇ、君帝光中のマネージャーさん?」

「え、はい」

「かわいーよねぇ!ね、アドレスとか教えてくんない?」

「え!?」


き、きました!出会いです!
あの夏の日以来失われた出会いです!
春の訪れと共に私にも爽やかな風が…!


「今携帯持ってる?」

「う、うん。えと――」
「朝比奈何をしている。みんな体育館で集まっているぞ」


ところが交換しようとした矢先、緑間君に割って入られできなかった。


「あ…緑間君、ちょっと待って」

「さっさと来い」

「わあぁ」


半ば引きずられるようにして、私の春は少し遠ざかった。
緑間君は私の首根っこを掴みながらあからさまなため息を吐く。


「まったく…あんなのに引っかかるとは」

「なっなにすんの緑間君!私の一生に一度しかないかもしれない出会いを!」

「馬鹿なことを言うな、あれのどこが出会いだ」

「だって私のモテ期もう終わっちゃったんだもん!次いつ来るかわかんないし」

「俺は今日、赤司からお前のお守りを任されているのだよ」

「お、お守りですって!?緑間君のくせに!」

「くせにとは何だっ」

「ミドリムシって呼んじゃうぞ!」

「なんだと!?」

「ふん、どーせあれでしょ?小学校の頃理科の授業で初めてミドリムシが出てきたとき、あだ名ミドリムシだったんでしょ?」

「人の過去を勝手に想像するな!」

「緑無真太郎!」

「いい加減にするのだよ!」


 
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