恋模様

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短い春休みが終わり、はれて二年生になりました。

学校に到着して、新しいクラスの名簿から自分の名前を探す。


「……赤司君、また隣のクラスだね」

「あぁ」

「私先教室行くね」


自分の名前を見つけたので、先に教室へ向かう。

……よ…よかったー赤司君と別のクラスだ!
いやー同じクラスになってたらどうなることかと春休み中ドキドキしてたんだよー。

と、安心しながら新しい教室に入る。
それにしても、馴染めるかしらこのクラス。ハンターはいるかしら。

えーと私の席は…ラッキー一番後ろ。
さっそく席に着こうとしたら、右隣の席になんだか塊が出来てる。
女子に囲まれてるその席は、誰のものか私でもわかった。

目立つ金髪イケメン。
モデルで噂の黄瀬君だ。
緊張するなぁイケメンの隣って。


「あ、どうもっス!俺…」


私が隣りに座ると、気付いた黄瀬君が挨拶をしてくれた。
けどその挨拶は私の顔を見た途端止まる。
顔が呆けてますよー。けどカッコいいなくそ、これがイケメンか。


「よろしく」


私は短く頭を下げた。
そしてぐりんっとそっぽを向いた。

だってだって、黄瀬君を取り巻く女子の中の一人、いつぞやの仮面美人…!


「あ、あの!」

「!?」


黄瀬君が身を乗り出してこっちに迫ってきた。
やめてくれそっちを向いてしまうではないか。
やっぱ間違いない。仮面美人だ!
その顔、仮面とれかけてるよ!


「あの…名前は?」

「朝比奈葵です」

「俺、黄瀬涼太」

「う、うん知ってる。モデルやってるんだよね」

「そうっス!わーなんか照れるっスね知ってもらえてるとか」


いやごめんけど知らないよそんなこと。
それより話しかけないでいただきたい。
あの仮面美人からの視線が痛い。
相変わらず私を見る目は恐怖が滲んでるけど、その中にただならぬ闘志を感じるよ今。


「連絡先っ」

「えっ?」

「教えてほしいんスけど」

「!」


だからやめてよイケメン!
闘志が殺気に変わったから!


「あー…ごめん、私携帯持ってなくて…」


――ピロロンピロロン


「……」


こんな時に限ってマナーモードし忘れとか…。
あぁ赤司君、その用事、今言わなきゃダメだったの?

メールはすぐ返さないと怒られるので、私はすぐ返事をする。
その様子を見ていた黄瀬君が、ちょっと控えめに聞いてきた。


「彼氏…スか?」

「違!っ…えーと、そうそう彼氏彼氏!なんかもう束縛厳しくて、男の子と連絡先交換させてもらえないんだ!ごめんね!」

「そっか…」


はははっと引きつった笑いを浮かべると、彼はちょっとしゅんとして体を引っ込めた。

あぁー危なかった。また仮面美人の恨みでも買ったらどうしようかと。
てか赤司君がダメだからって今度は黄瀬君か、ま、どうでもいいけど。

と、ここで斜め前、黄瀬君の前の席に新たなクラスメートがやってきた。
私の胸が一気に弾む。


「あっくん!」

「んー?あ、葵ちん。同じクラスなんだーよろしくね〜」

「うん、よろしく!」


バスケ部員確保!
他にもバスケ部員はいるけど、あっくんなら嬉しいなぁ。
…てあれ、私女友達いなかったっけ。
桃ちゃんとはクラス別れたし…。
あれぇ…?


 
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