恋模様

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教室に入ろうと思った足を止める。
入り口に仮面美人がいたから。

反対の入り口から入ろうと思ったけど、ふと彼女と目が合ってしまったので、入るのを止めた。

…適当に校内ブラついてから戻ってこよう。
私は教室から離れた。


仮面美人。
今や学園最高レベル5。
他校にもその名が知れ渡ってるレベル5。それだけ可愛いのだ彼女。
ちなみに黄瀬君はレベル6。規格外。

桃ちゃんはレベル4てとこかな。学校全体が知ってるレベル。
他の部活の先輩からも告白されるのがいい証拠。

赤司君も5かな?
あっくんなんかはその見た目だけでレベル5…てかキセキの世代はみんな5だな。雑誌出てるし。
あぁでもテツ君は違うか、悪いけどレベル1。クラスでも知らない人がいるレベル。
特に今はクラスが変わったばかりだし。
まぁ彼は幻だからな。

私は…どうだろう。
クラスの人は知ってるだろうから2くらい?


「ちょっとあんた」

「……」

「ちょっと!」

「……」

「無視?朝比奈葵!」

「……?」


名前を呼ばれた気がして振り向いたら…
げぇー仮面美人!?


「黄瀬君がバスケ部入ったって聞いたんだけど」

「え?」

「あんたどんな手使って引き込んだのよ」

「え…何?」

「黄瀬君がバスケ部!」

「あぁうん、入ったけどなに?」

「だから!どうやって引きずり込んだの!?」

「え?あの…ごめん、小声で話すならもっと近くに来てくれない?」


私と仮面美人との距離、五メートルほど。
怖がってんの怒ってんのどっちだよ。
仮面美人の顔がぷうっと膨れたのが見えた。
次にツカツカとこちらに駆け寄ってきたかと思うと、腕を強引に引かれて近くの女子トイレへ拉致。


「なんで私の邪魔ばかりするのよ!」


そしてさっきの続き。
距離近くなったのに声は大きくなってて思わず耳を塞ぎそうになった。


「…じゃ、邪魔なんてしてないんだけどなぁ…」

「してる!黄瀬君にベッタリじゃない」

「だからしてないって」

「あんた私に恨みでもあんの!?」


屋上で干されかけましたが!?


「別に恨みは…。て言うか勘違いしてるみたいだけど、私黄瀬君のことはどうも思ってないから」

「信用できない。あんなに楽しそうに喋っといて」


嬉々としてるのは黄瀬君の方だと思いますが。
けどもう何言っても聞き入れてくれそうにないな…。


「あのさぁ…黄瀬君のこと好きなんでしょ?」

「だから?」


仮面美人の目は相変わらず敵意丸出し。
さっさと逃れたい。


「だったら、私なんてかまってないで黄瀬君のこときちんと見なよ。こんなことしてる暇あったら、黄瀬君と夢中でお喋りした方がいいんじゃない?」

「っ!!大きなお世話!」


――バァン!

トイレのドアを派手に閉めて、仮面美人は去って行った。
うーん言い方まずかったかなぁ。
けど私だっていい気分じゃないし濡れ衣みたいで。
気にするのはやめよう。

 
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