恋模様
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家に帰ってきて、自分の部屋に入るなり、制服のままベッドに倒れこむ。
ぐちゃぐちゃの気分で、口からはうめき声か、
「赤司君のバカ」
の言葉しか出てこない。
道端で思い切り罵倒してしまって、赤司君は怒ってるのかな。
いや怒ってるのはこっちの方だよ。
明日からどんな顔して会えばいいんだろう。
どうしたらよかったのかな。
どうしたいのかな私は。
「葵」
「…!?」
部屋の外から私を呼ぶ声。
ちょっと待って、どうしてそこにいるの。
「…なんで中にいるの、赤司君」
「不用心。玄関の鍵、閉め忘れていたよ」
「……」
ドア越しに聞こえる声は、いつもより少し、力が抜けているような気がした。
赤司君、追いかけて来たってことは、何か話に来てくれたのかな。
でも彼は何も言わない。
この静寂がなんだか痛い。