恋模様
□32
1ページ/3ページ
空は晴天。
澄んだ冬空。空気は冷たいけど、日差しが暖かくてお出かけ日和。
意を決して家を出る。
向かった先は、高校バスケ冬の大会の、会場。
ウィンターカップ三日目。
一日、二日とは中々勇気が出なくて、結局来ることはできなかった。
その間も近況はテツ君から知らされてきていた。あの青峰君に勝ったって。
すごいなテツ君。
すっかりバスケと向き合っていて。みんなとも。
私にはそんな行動力なかった。
開会式以来、今日はまたキセキの世代みんなが出そろっているらしい。
来るなら今日だよってテツ君に押されに押され、加えてこの間の母の話で、ついに重い腰を上げた。
今日は青峰君以外全員が試合だ。
その青峰君はどうしてるのかな、見に来てるのかな。
来てそうだな、桃ちゃんが一緒だもん。
それに、いるよね。赤司君も。
「………」
すごく大きな会場に、私は未だ足を踏み入れることができず、寒空の下佇んでいる。
ごった返す人ごみの中、たった数人の知り合いとすれ違う確率なんてほぼ一桁だろうけど、
怖くて…
その一歩が出ない。
もし顔を合わせたら、みんなはテツ君のように笑ってくれるだろうか。
みんなのことを考えることすら怖くて、バスケからも離れてしまった私。
全部放って抜け出した私に、みんなどんな顔を向けるんだろう。
嫌悪の眼差しを向けられるならまだいい。
一番怖いのは、無関心。
まるで私なんて初めからいなかったように、楽しかった時期すらも否定されたら…