アオハルデイズ

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練習が終わって教室に入るも、二人の話題は相変わらず。


「あーんな可愛い子が同じ学年にいたなんて、全然知らなかったっスよねぇ」

「クラス遠いから今まで気付かなかったんじゃね?」

「んー…」


(なんつーか…もっと話してみたいんスけど…)


朝練が終わって教室につくのはギリギリ。
それを知ってか知らずか、葵はHRが終わってから黄瀬の教室に現れた。

二人がまだ教室で葵について話していると、


「黄瀬ー!女の子から呼び出しー!」


早速声がかかった。
黄瀬が胸を高鳴らせながら飛び出していく。


「ごめんね黄瀬君。見ず知らずのあたしなんかに…」

「いいっていいってそんなの。て言うか…俺のクラス知ってたんスか?」

「そりゃ知ってるよー黄瀬君有名人だもん」

「っそお…?」


ちょっと照れ笑いを浮かべる黄瀬。
葵は電子辞書を受け取るとすぐに一歩足を下げた。


「じゃあ、終わったらすぐ返すから」

「あ、いいっスよ。今日一日持っててもらって」

「え…」

「俺今日は使わないし。葵ちゃん使ってて?」

「いいの?…嬉しい、ありがとう」

「っ…」


葵はニコリと微笑むと、丁寧にお辞儀をして自分の教室へ戻っていった。
その後姿を見送りながら黄瀬は、今日二度目だ。そう思った。


「おい黄瀬ずりーよお前ばっかり可愛い女の子をさぁ〜」

「……」

「黄瀬?」

「…なんか俺…マジかも…」

「は?」

「葵ちゃん見るとドキドキする。こんなん初めて」


黄瀬自身、まさかとは思った。
確かに見た目がどツボではあるが、なんせさっき会ったばかりで、数回言葉を交わしただけの相手だ。

しかし、胸のドキドキを実感してしまった。それも初めてのことだった。
これが恋というものなのかどうか慎重に見極めたいところだが、一日中彼女の顔が頭から離れない。

(何でもいいから、葵ちゃんに近付きたい)

 
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