アオハルデイズ
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期末テストを無事乗り越え、夏休みも迫ってきたとある練習試合の日。
監督と主将の会話だった。
「監督、今日マネージャーが来れないそうです」
「何?そうか弱ったな…」
「でも代わりは一年に任せて…」
「いや、今日の試合は一年にも見せたいからな。…だがそろそろ買出し行ってもらわないとマズイな。試合中に行ってもらおうと思ったんだが」
「……じゃあ…」
まだ練習試合が始まる前。
部員がある程度体育館に集まったところで、幸男は簡単に部員を集めた。
「ってなわけで、今日一日臨時マネージャーだ。つっても雑用してもらうだけだが、よろしく」
「笠松葵です。よろしくお願いします」
体育館がにわかにざわついた。
中でも一番目を丸くしていたのが黄瀬だった。
「けど笠松、急に知らない子に頼んでも…」
「こいつはこう見えて、中学三年間バスケ部マネージャーだった。要領は分かってる。それにほんと少し手伝ってもらうだけだから」
と、ひと通り紹介も済んだところでその場はばらけ、各々調整に戻っていった。
葵は長い髪を高い位置で一つに束ね、幸男に頑張ってねと声をかけた。
「じゃああたしは買い出しに行ってくるので」
「おう、頼む」
「え、葵ちゃん行っちゃうんスか?」
ここですかさず黄瀬。
「うん、頑張ってね試合」
葵は自分のやるべきことのため、軽く手を振り返すと体育館から出て行った。
黄瀬は、応援してくれたら嬉しかったのに。
なんて心の中で思いつつ、バスケ部員が嬉しそうな顔をしていたことが気に入らず、ちょっとだけ口を尖らせた。