アオハルデイズ

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そして始まったインターハイ。
迎えた桐皇戦。

海常は、負けた。


選手たちがコートから去り、観覧席の部員たちもバラバラと外へ出ていく中、葵は一人座ったまま動かなかった。

しばらくしてから席を立つと、外で携帯を取り出し、幸男の番号を出す。


「……」


しかし何もせず、また閉じた。

会場の出入り口から数十メートルほど離れたところで待機していた葵は、やがて出てきたメンバーを見つけると顔を上げた。
近寄ろうかどうか迷っていると、幸男の姿がないことに気付く。

(電話かけなくてよかった)
幸男の心中を悟り、心の中で呟いた。

皆、思ったより暗い顔はしていない。
そう気付いた葵は、近寄ろうと駆け足になった。
しかし、黄瀬が一人離れて行くのを目にし、小堀先輩!と声をかけた。


「葵ちゃん」

「お疲れ様でした。…あの…黄瀬君は?」

「やっぱまだちょっと体しんどいって。先帰っててくれってさ」

「…そうですか…」


葵は一瞬迷った後、先輩たちに頭を下げてから、黄瀬の後を追った。

 
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