泥沼の脆い花

□逃げ出し、
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制服プレイ  しかも自分の制服でやるのが嫌でじたばた抵抗してたら、かかとで思いっきり相手の頭を蹴っちゃって、気絶した。どうしよう。バレたら、多分まずい。息はしているけど、殺人でも犯した気分。
こういう時、人間は自然と行動を起こせるもので、そいつを毛布にくるんでベッドの下に押し込んだ。見つかったら殺される、なんていう冗談みたいな錯覚にとらわれる。ぱっと顔を上げると、普段は閉まっているはずの窓が開いていた。
  行ける。
助走をつけ、窓枠に手をかける。数日間で衰えなどしない腕の筋肉は私を軽々と持ち上げる。30cm四方の窓が何故か大きく感じられ、肩もお尻もするりとそこを通り抜けた。
牛三つ時くらいだろうか、辺りはひっそりと静まり返っている。街灯の光で辛うじて掴まれる場所をさがし、そこから壁や塀伝いに地面に降りる。今気付いたけど、裸足だ。コンクリートが冷たい。痛い。十一月の風が肌にしみる。……何で今更腰が痛むの!
セーターにシャツ一枚、スカートに裸足という寒いこのこの上ない格好で、でたらめに歩く。ノーブラノーパン。窓から見えていたサンダルが捨てられていたから拝借する。そのまま半球型の遊具の中に入る。風が当たらないだけ少し寒さが和らぐ。
「……花宮」
元々ただの同級生で、ただお昼を共にしていただけ。そこから偽物カップルになって、セフレになった。ここ二週間で、今まで花宮とヤった数以上にレイプされた。
「……寒っ」
お腹が痛み、足を抱え込む。今までのダメージが一気に襲ってきた感じ。あまりにも痛くて、お腹を押さえてうずくまる。未開封のかいろが落ちていたから、包装を破ってお腹に当てる。
じんわりと温もりが伝わる。寒いけど、動くのも何だから、朝までここにいよう。そう思っていると、ジャリジャリと、何かを踏む音が聞こえてきた。
誰か来る。
×××
京子さんの車に乗せられ、スカイツリーを目指す。
「花宮君と瀬戸君、原君と……」
「山崎と古橋です」
「ああ、そうね。悠貴と仲良くしてくれているのかしら?」
「そっすね。花宮なんてもう井上さんにめろめ」
「うるせぇ」
助手席から原は殴れねぇ。
「あの子、友達作るのを面倒がってね。気が強いし、付き合いは悪いし。ありがとうね」
「いえ、とんでもないです。……やはり、警察には通報しないんですか」
「それは私が面倒なだけ」
警察なんかいなくたって、場所分かったじゃない、と京子さんは笑った。
×××
「灰崎……!」
「わりぃわりぃ、予定変更して東京来ちまったわ。で、お前何逃げてんの」
公園に来ていたのは、灰崎と他に数名の男だった。脱走がバレたみたい。
「帰る」
「帰すかよ。まだ20万にもなってねぇ」
「私の意志だから。帰る」
「ぶっ殺すぞ、てめぇ」
今になって腹痛が酷くなってきた。遊具の中から出たから、風がびゅうびゅう当たって寒い。足元を見ると、腕くらいの流さの木材が落ちていた。腐ってはないようだ。
「あんたらがどう考えようが知らない。だけど、私はあんたらをここで叩きのめして家に帰る」
ブチ切れたのか、一人が正面からかかってきた奴の横っ腹を木材で思い切り殴る。うずくまる奴見て、灰崎達は一斉に襲いかかってきた。

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