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□大人しい子と花宮
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アイドルとか芸能人に興味を示さず、きゃあきゃあうるせぇ女子ともあまり関わらず、黙々と読書を続けていた真結に興味を持った。
×××
「あ、花宮君」
図書室の奥の小さなソファで意味もなくのんびりしていると、真結が来た。
「混んでて座れなくて。隣いい?」
「ああ」
少しずれると、真結は開いたスペースにちょこんと座った。ただでさえ狭いソファは、少し動くとぶつかってしまう、微妙な距離感を作り出した。特に気になることもないので、淡々と文庫本の文字を目で追っていく。少しすると、ざわざわと騒がしくなってきた。
「うるせぇな」
「ねー」
「音楽でも聞いてりゃましだろうな」
「あ、私持ってる」
本を開いたまま、真結はポケットからウォークマンとイヤホンを出した。
「左耳でいいかな?」
「ああ」
片耳のイヤホンを受け取り、耳に刺す。
「曲は?」
「何でも」
「分かった」
再び本を開く。畜生。どこまで読んだか分かんなくなった。
×××
今、すげぇの見てる。
たまたま用があって図書室に行ったら、花宮がなんか可愛い子と座って本読んでるんだけど。イヤホン片っぽずつ付けて。なんか足でリズム刻んでるし。なんだっけな、名前が思い出せない。すげぇ可愛いって、同級生ん中では結構有名なんだけど。下は分かる。真結ちゃん。ああ、なんか超気になる。
ん、と……、え?
まじか。
俺から見て花宮は左に座ってんのね。正面から見てるから。で、ナントカ真結ちゃんが寝てるわけ。こう、花宮の右肩にもたれて。ヤバい。花宮の顔、真っ赤。紅生姜みたいな?夢がねぇや。りんご。りんごみたいに真っ赤。
花宮がなんか一緒に寝始めた!すげぇ、真結ちゃんの頭にまた頭乗せてやがんの。やべぇ、ちょ……、ええー?これは写真撮んねぇと。そーっとバレないように近付いて、スマホを構えた時、花宮の目が開いた。
「何やってんだ」
「アレ、お邪魔だった?」

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