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□宮地と同級生バカップル
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長編で宮地のいじり役として登場した田中君が、今回再登場してくれます。
×××
「真結、はいこれ」
「マジでお返しくれんの!?ありがと!」
3月14日はバレンタインのお返しの日。すなわち、ホワイトデー。マネージャーの義理として、宮地以外にも義理をあげた。宮地にはもちろん本命!ハートのやつを頑張って作りましたよ。
「ナッツ食える?」
「全然オッケー。本当ありがとう!田中が今日一番乗りだよ」
「嘘まじ?俺宮地より先?」
「うん。なんか宮地が今日、目ぇ合わせてくれないんだよね」
「あー……」
田中から貰ったオレンジの箱に入ったお返しは、クッキーのようだった。不器用にラッピングされている所を見ると、わざわざ自分でやってくれたのか。田中もモテるし、たくさん買ってラッピングだけ自分でやったんだろう。
「あいつな、多分忘れてる」
「え?」
「今日がホワイトデーだって事、忘れてる」
×××
その日は無視を決め込んだ。何故なら先ほど、
「真結、ごめん」
「ん、何が?」
「忘れてた、ホワイトデー」
田中すごい。本当に忘れてたよ、マイダーリン。笑って許してあげようかとも思ったけど、そんなんじゃ宮地のためにならないんじゃないかと。泣きついてきたらさすがに考えてあげるけど、なんかこいつ淡々としてやがる。
「真結」
「……」
「おい、真結」
一ヶ月前の席替えで、私達は隣の席になった。そのため、無視する相手が隣にいて、ちょいちょい名前を呼んでくる。
「真結、無視すんなよ。悪かったって」
イケメン宮地のイケメンボイスで名前を呼ばれて反応してはいけないという拷問に、必死に耐える。ちょっとだけ宮地の方を向くと、宮地はちょっとすねてた。
可愛い!ヤバい!今の顔撮りたい……。ああ、拷問だよ、これ。自分で勝手に始めたんだけど。
「真結ー」
でも、宮地がいけない。私のひと月前の愛を忘れてたのはあいつだから。
宮地はずっと「真結ー」って言ってた。それを無視する私。バカップルと言われてる私達の奇妙な光景は、放課後部活が終わる時間まで続いた。
部活も終わり、帰ろうとした時、
「真結、ちょっと話が……」
「真結はいるか」
「あ、ここだよ大坪」
宮地と大坪が同時に私を呼び、私は宮地を華麗に無視して大坪の元へ向かった。
「なになにー?」
「これ。先月のお返し」
「まじ!?ありがとう!どっかの誰かはくれなかったのに!」
手渡された焦げ茶色の箱を見せびらかすように振ると、チッという舌打ちが聞こえた。
「あ、あとな」
「うんうん」
「散々じらしたんだから、宮地もそろそろ構ってやれ」
「分かってますよー」
上機嫌で箱を鞄にしまい、肩に掛けて部室を出る。少し離れた所で宮地が出てくるのを待つ。なかなか出てこない。シャワー浴びてんのかな。
十五分ほど待って、他の人が全員帰った後、ようやく宮地が出てきた。ちゃんと制服に着替えてる。宮地は私を見つけると、一瞬たじろいだ。
「真結」
「宮地」
私の前で立ち止まった宮地は、空いてる右手をぽんと私の頭に置いた。
「少しはこたえた?」
「ヤバい。真結不足で死にそう」
そう言うと宮地は、私の頭に乗せていた右手を引き寄せ、私を腕の中に収めた。
「わりぃな。今度何か買ってやる」
「うん。帰ろっか」
「もう少しこのまま」
「しょうがないなあ」
精いっぱい背伸びした私の肩に、宮地が顔をうずめる。ちっちゃい私とでっかい宮地。でこぼこなコンビは、仲良しカップルです。
×××
宮地のデレとは、つまりこういう事でしょうか← バカップル要素がもはや空気ですね。リクエストして下さった舞様、ありがとうございました!

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