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□バレンタイン企画
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赤司の場合
※『love...!』の主人公設定。同棲のような同居中。
×××
やけに今日は周りがそわそわしている。それは2月の一大イベントであるチョコレートの祭典の当日だからか。生徒会やら委員会やら部活やらで忙しい僕の頭には、今日は2月14日ではなく2月の第二金曜日としかインプットされていなかった。
「征ちゃーん」
僕をこう呼ぶのは、玲央と真結くらいのものだ。今の部室中に響くような大声は玲央ではないと信じたい。ついでに、今の呼びかけが僕目当てのものではないとも信じたい。
「あ、いたいた。赤司征十郎くん」
……やはり僕か。
「うるさい。何だ」
「人格負けしてるよね、征ちゃんって」
「僕は部活終わりで非常に疲れているんだが」
「そんな事聞いてないよ」
「うるさい」
「まあまあ。一緒に帰ろー」
断る理由も見つからず、そのまま着替えを続ける。他の部員は先に帰らせ、一人で部室の整理をしていた所だ。
「さあ、征ちゃんに問題です。デーデン!」
「断る」
「はずれー」
答えてないんだが。
「今日は何月何日でしょうか?」
「2月の第二金曜日」
「“ば”から始まって“でぇ”で終わるんだよ」
「バレンタインデー。……
あっ」
「忘れてたでしょー」
真結はへらへらと笑った。
「じゃーん」
真結は鞄から、正方形の平べったい箱を取り出した。黒地に赤いリボン。
「……ありがとう」
「ねぇ、食べないの?」
「家でゆっくり食べるよ。どうせ帰る場所は同じだからな」
「そっかー。ならいいや」
鞄に箱をしまうと、真結に腕を引かれる。バランスを崩した僕の胸に、真結ががばっと抱きついて上を向いた。目がばっちり合う。
「……真結」
「いつもありがと」
「なんだ、急に真面目になって」
「大好き」
「……ああ」
背中を曲げて額を寄せる。
「僕もだよ」
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