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□赤司君と『式の前日』
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「真結」
「なぁに?赤司君」
駄目だよ、と赤司君は私の唇に人差し指を添えた。
「赤司君、ではないよ。もう明日だろ?」
「あっ……」
「忘れてないなら良かったよ」
あか………、征十郎君はクスリと笑い、エアコンをつけた。温かい風が私と征十郎を包む。
明日、私達は結婚式を挙げる。
クローゼットを開け、征十郎は純白のドレスを眺めている。
「どうしたの?」
「いや……、真結がこれを着た姿を想像してただけだよ」
「もう、やめてよ。恥ずかしいよ」
「想像だよ。何なら着てみるか?」
「それは遠慮しようかな……」
笑って、私はベッドに入る。ふかふかの布団に包まれると、心がほっこりして落ち着く。征十郎もクローゼットを閉めると、隣に入ってきた。
あったかい。布団も、征十郎も。
「ねぇ、征十郎」
「何だい?」
「ほんとに……、良かったの?」
「何がだ?」
「その……、私で」
少し恥ずかしくなって、征十郎に背中を向ける。征十郎もそれに合わせて動いたらしかった。ガーゼ生地にくるまれた征十郎の腕が、私を後ろから抱き締めた。
「僕がどれだけ真結を好きか、それはよく分かっているだろう」
「うん」
「なら問題ない」
「でも、まだ信じられないの」
いわゆる“あすなろ抱き”をする征十郎の袖を摘まむ。それに気付いた征十郎は指を絡めてしっかりと握った。
「征十郎なんて、学校でも首席だし、バスケも上手だし。私なんかがお付き合いできたのが信じられないのに、結婚しようだなんて……、ね?」
「一理ないな」
「え、ないの?」
「そんなものあってたまるか。僕が惚れたならそれでいいじゃないか」
「あっ……」
瞬間、プロポーズの時の言葉と情景が、頭の中を駆け巡った。
あれは本当に突然だった。征十郎の家にお邪魔した時だった。征十郎とそのお父さんと食事をしている時に、突然何か紙のようなものを渡されたのだ。
その紙は、もう市役所に提出してきた。あとは私の名前などを書くだけになっていた、婚姻届だったのだ。
  結婚してください。
彼に似合わない敬語で、征十郎はお父さんの前で確かにそう言ったのだ。
思い出して、顔が熱くなった。
「指輪、今してるか?」
「寝てる間は取ってるの。ごめんね?」
「いや、大丈夫だ。大切にしてくれてるなら」
ふと思い付きで、体を反転させる。あすなろ抱きから、正面抱きだ。征十郎は薄い闇の中で、私の額に口付けた。
「明日、なんだね」
「ああ」
「嬉しい?」
「当たり前だ。どれほど待ちわびてきたと思ってるんだ」
「……私も」
そう言って、ベッドの横のスタンドの電気を消す。たちまち辺りが真っ暗になり、手探りでベッドに戻る。再び温もりの中に身を包まれると、征十郎はもう一度、私の額にキスをした。
×××
『式の前日』知ってる方いますかぁ……!わたしお薦め漫画現在第二位です。ちなみに一位はもちろん黒バス。……つまんなくないですよ、愛ですよ!←え。
結婚とかイチャイチャする赤司?でした。リクエストありがとうございました!

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