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□赤司家の夫婦喧嘩
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「だから何度言えば分かるんだ」
「何度だって言えばいいじゃーん。面倒くさいなぁ、もう」
ベッドにごろんと横になり、天井を見上げつつTwitterを起動する。やっば、通知が沢山。
「みんな……、無視してごめんね」
「何を言ってるんだ。それよりも早く部屋を片付けろ」
「やだー!」
机の上はごちゃごちゃで、脱いだ服はそのまんま。床には物という物が散乱している。
「拒否するな。床が見えないなんて最早部屋じゃない」
「ちょっと見えてるよ、ほら!」
「ちょっとにも程があるだろ。さっさとしろ」
「片付けに意味を見い出せないの!」
駄々を捏ねる私に、征ちゃんは更に続けた。
「部屋の乱れは心の乱れだ」
「……部屋綺麗でも心乱れまくりの人がいるんですけど」
「誰だ」
「征ちゃん」
瞬間、バシッという音が脳を突き抜けた。同時に目眩がして、ふらっとその場に崩れ落ちた。
「あまり調子に乗るな。怠惰な奴は嫌いだ」
つーっと、生暖かい何かが鼻の下を伝った。鼻血が出たのか。呆然としている間に征ちゃんは部屋を出ていってしまったけど、鼻血はとめどなく溢れ続けた。
×××
『なーんで俺を巻き込むんスか』
「スタバナナ奢るから」
『カロリー制限してるから遠慮するっス。それより、何で俺なんスか?』
「黄瀬だから」
『理由になってないっスよ……。まあいいけど。それで、また赤司っちと喧嘩したの?本当よく喧嘩するっスよね』
「部屋の片付けしなかっただけでひどくない?」
『床は見えてるの?』
「見えてないよ」
『そりゃ怒るっスよ』
「まあね」
『とりあえず、ちゃんと部屋片付けてから謝ったらどうっスか?』
「それは考えた」
『じゃあ実行実行』
「面倒くさいんだよね」
『真結っちって基本的に駄目っスよね』
「まあね」
『そこは否定しなきゃ……。ま、健闘祈ってるっスよ』
「征ちゃんには負けるってー」
『ははっ。まあ、そうっスよね。さっさと謝って解決解決!』
「そだね。ありがと」
『いいえー。また何かあったら電話してね!』
「うん、またねー」
×××
「……征ちゃん?」
征ちゃんは机に突っ伏して寝てた。開きかけのパソコン。仕事の最中だったかな。寝室は別々。まだ子供とかいないし。
「征ちゃん、ごめんなさい?」
ブランケットを掛けてあげて、お夜食のおにぎりを置いておく。喜んでくれるかな、また怒るかな。
その後の話は、またいつか。

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