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□宮地家の夫婦喧嘩
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ちょっと強く当たっただけなのに、すぐに泣きだすとかガキかよ。実際ガキもいるけどさ、何ら遜色ねぇよ。リビングの扉を乱暴に閉め、寝室に閉じこもって鍵を閉めた。
「きよ、きよし」
「……ちっ」
「ごめんなさ……、い」
寝室は兼用だ。俺が鍵を閉めてしまえば、俺一人に対してベッドが二つという、変な比率になる。片方のベッドの縁に座る。もう片方には、首が座りつつある子供が、すやすやと夢の世界に旅立っていた。
24になった俺は、ずっと好きだった真結を嫁に貰った。飯は美味いし、いいとこは沢山ある。今回のケースはお互いの短所が出尽くした結果だ。毒舌と泣き虫。ただ、あいつが俺のアイドルうちわでゴキブリを仕留めた、それだけの話だ。
アイドル離れは、出来ない。嫁にだって譲れないのだ。
「……うー」
「何だ、起きたか」
唸りながら寝返りをうった子供は、薄暗い部屋の中でぱっちりと目を開いている。
「おはよ」
「うー」
「ママならいねぇぞ。喧嘩したんだ」
子供は再び目を閉じて、こちらに体を向けた。
「眠いなら寝ろよ」
横に寝そべってやると、もぞもぞと体を動かしてシャツの胸元を握ってきた。右手で抱き締めるように包んで頭を撫でてやると、あっという間に子供は眠りに落ちた。つられて、俺も寝てしまった。
起きたのは翌朝だった。寝た時の体勢そのままで、体の節々が痛む。隣のベッドに真結はいなかった。
顔を洗って寝癖を直して、リビングに入ると、真結がダイニングテーブルに突っ伏して寝ていた。そばには何故か、新品のうちわ。目元は擦れて赤くなっている。
「……買ってきたのか?」
そう尋ねると、寝ているはずの真結は小さく頷いた。
「わざわざ?夜中に一人で?」
こくり。
「危ねぇだろ。馬鹿」
汚れてしまったうちわは、汚れた面が綺麗に剥がされ、傍に置いてあった。俺が怒って寝てる間に、こんな事してたのか、こいつは。
「……悪かった」
すると、ほんの少しだけ、真結の顔がこちらを向いた。
「ゆっくり寝ろよ」
額にそっと口付け、真結を抱きかかえて寝室へ運んだ。子供はまだ寝ていた。ゆっくりベッドに下ろしてやり、もう一度、今度は唇にキスを落として部屋を出た。
後で起きたら、もう一回謝らなきゃな。
×××
宮地さんのドルオタを許せる人こそ、真の奥様になれるのでしょうか。嫁入り修行とか本当大変そう……(^_^;)
リクエストありがとうございました!

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