アス×キラ

□いつも天使なキミでいて 〜A side〜
1ページ/5ページ

いつも天使なキミでいて 〜Athrun Jade side〜






ここ、月の自由都市コペルニクスのはずれにある住居に
幼馴染で恋人のキラと共に引っ越して来て、そろそろ2ヵ月になる。


大きな窓から降り注ぐ朝の光の中で目を開くと、朝日に透けて柔らかく輝くココア色の髪――――――。

心地良い体温を確かめるように、覚醒しつつある意識を巡らせば、
愛しい存在が腕の中で甘い寝息を立てている。


落ち着いた気持ちでキラに向き合えるようになってから、
世界は鮮やかにその色を変えた。

いや…、気付いたのだ。

こんなにも空が青いと。
こんなにも木々の緑は輝いていると。

そんな他愛も無い事に、泣きたくなるような気持ちになる自分自身に。


しばらくそうして寝顔を見詰めていると、ふいに長い睫が揺れた。

「…ん……」

ゆっくりと持ち上がって行く瞼に、そっ…と触れるだけの口付けを落とす。
くすぐったそうに身を捩る姿は、毎朝見たって決して飽きたりする事は無い。



「アスラ…ン…?ぉ…はよ……」










まだ半分夢の中にいるキラの舌ったらずな口調に、自然とこちらの口元は綻ぶ。


「おはよ、キラ。もうそろそろ起きないと…今日は出掛けるんだろ?」

もう少し寝かせてあげたい気もするが、買物がてら街まで出てレストランで昼食を取ろうという提案に、
キラは昨夜嬉しそうに頷いていたのだ。

俺としてはこのままキラと一緒に寝坊するのも最高の1日なのだが、
キラの事だ…自分のせいで計画が台無しになったとガッカリするに違いない。


「うん…行く…」

キラはのろのろと身体を起こし、瞼を擦ると大きくひとつ伸びをした。
薄いブルーのパジャマは逆光に透け、しなやかなその身体のラインが浮かび上がる。
その光景に思わず目を細めると、キラはいつものように触れるだけのキスで俺の唇に触れた。

「おはよう」

離れようとする細い肩を掴まえ、更に深い口付けを仕掛けようとしたその時、
微かな重みと共に、俺とキラの間にスルリと滑り込む…銀色の毛皮…いや……


“銀灰色の毛玉”。


「あ、お前もおはよっ、イザ子」

ひょいっとその毛玉を持ち上げ『チュッ!』と音を立ててキスを贈るキラに、
俺はきっと複雑な表情を向けていたに違いない………。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ