アス×キラ

□Woo,Lovely Honey!
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シンプルで広々としたリビングの一角に置かれているのは、南国リゾートを彷彿とさせる鮮やかな色彩のカウチソファ。



そこに寝そべって日がな1日ゲーム三昧が“隠居生活中のキラ・ヤマト”の日常ならば、その傍らで片手でPCを操り、もう片方の手で膨大な量の書類をめくりながらやっつけるのが、“プラント最高評議会議長補佐アスラン・ザラ”の日常であった。



瞬きをするのも忘れ、食い入るようにしてモニターに向かっていたアスランが弾かれたように顔を上げた。


柔らかな綿素材のシャツの裾、
背中から脇腹辺りをゆっくりと撫でる暖かい掌の感触に驚いたからだ。



そろり、、、


と視線を巡らせれば、
先程まで夢中でコントローラーを握っていたキラの手は、いつの間にかアスランのシャツの中へと潜り込んでいた。


「…キラ?」



愛しい相手を呼ぶ声にはいつだって、抑え切れない甘さが混ざる。




が。




―――全く、反応は返らない。



「……キラ?」



もしや眠っているのかと覗き込めば、キラはぼんやりと視線を合わせて来た。



「キラ?どうかしたのか?」



何か言いたい事でもあるのか?もしや具合でも悪いのか?


それともそれともそれとも。


やんごとなき男の本能の部分で、その……




“触れたい”



―――――とか、


思っての行動だったりするのだろうか。





アスランは身体ごとキラへと向き直った。



「――――キラ?」


「…んーー?」


何とも間の抜けた返答だ。





「んーー?じゃ無いだろ、
 んーー?じゃ!!

 こ・れ!

 これは一体何なんだ?!」



アスランはシャツに潜り込んだ細い手首を掴んで引き出した。


太陽の恵みで健康的に色づいたその腕がどんなに甘くて暖かいか知っているだけに、身体の深い部分が疼きだす予感に胸が震える。



キラは不意に掴まれた己の左手をしばし見つめた。


「何…って…これは僕の左手だけど?」


アスランの全身の血管が瞬時に波立つ。

お世辞にも、気が長いとは言えない彼である。


「ああそうだな。それはおそらくお前の左手だろうさ。ほぼ100%に近い確率で間違い無くそうだろうな、賭けてもいい。
俺が知りたいのはお前のその手が左か右かではなく、どーして俺の背中や脇腹を撫でくり回しているのかという事なんだ。何か意図があるのか、無いのか、どっちなんだ!?」




キラは一気にまくしたてるようにして言い放つ親友兼恋人を見上げる。



紫玉の瞳と翡翠の光が交錯した後、その唇から出た言葉にアスランはガックリと肩を落とすしか無かった。




「え…?僕そんな事してた?」




誰が聞いても呆れてノーコメントを貫きたくなるどころか、『貴様ら豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえー!』と声を限りに叫びたくなるような馬鹿っプルぶりは、傍迷惑が過ぎる程に、、、





今日も健在なのであった。



後日この話を聞かされたオーブ、プラントの最高権力者達は、



「世界は今日も平和ですわね…」

「ああ。イヤんなる位に、な!」




友好強化の晩餐会に於いて、苦笑いと共に長く深い溜め息をついたとか、つかないとか。



■END■


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