アス×キラ

□happiness
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happiness



「アスラン、もしかして…怒ってる?」




「……別に怒ってない」

「ホントに?」


アイスカフェラテをストローで混ぜながらチラリと上目遣いで見やるが、翡翠の宝玉は窓の外に向けられたまま微動だにしない。


「……………ああ」



って、何?その間は。


絶対まだ怒ってるくせに“怒ってない”とか言ってさ。

それで機嫌悪いままムスーってしてたら、言ってる事おかしくない?


もしこれが逆の立場だったとしたら、“キラ、お前いつまで子供みたいにふくれてるんだ?”とか“それならお前のその態度はなんなんだ?”とか、嫌味のひとつふたつから始まって、そこからお説教になって…いつの間にか怒ってたはずの立場の僕が《ゴメンナサイ》を言わされてるんだから。





   * * * *





“2人が再会した記念日だから、たまには恋人らしく外で待ち合わせしてデートしない?”



“ああ、そうだな。どこで待ち合わせる?”

“んー…とね……あ!フェブラリウスワンに1日中遊べるショッピングモールが出来たってディアッカが言ってたから、行ってみたいな”

“それなら宇宙港のフェブラリウス行きの南口で待ち合わせよう。間違えて北口に行くなよ?オートエレカ降りたら右だからな右!ターミナルを左に見て右だぞ?”

“わかってるって!まったくアスランは心配症なんだから!”




   * * * *



確かに待ち合わせ場所を忘れたのは僕だけど、南だ北だ右だ左だって…あんな沢山のキィワードをいっぺんにインプットされたら、余計に記憶が混乱すると思うんだけど。



なんか…


なんか………



「―――理不尽な気がする」


「はぁ?」


僕の反撃は意外だったらしく、頬杖をついてそっぽを向いてた顔が弾かれたように上がった。


「僕は時間前にはちゃんと宇宙港に来てたんだから」


あちこちウロウロ捜してお互いすれ違うより、分かり易い場所で立ってれば見つけ易いだろうと思ったんだ。


「だからって!センターホールの時計台の下に立つ事ないだろう?!あんな…さも“ナンパして下さい”みたいな場所に1人でいたらどうなるかくらい判らないのか!?」



「…あの場所がナンパ待ちで有名なスポットだなんて知らなかったんだもの」

「ナンパ野郎に簡単に手なんか握らせたりするなよ!!」

「断ったら“握手だけでも”ってしつこいから……」


直後、何人にも囲まれた時は流石にヤバいと思ったけど。


「…モバイルに掛けたけど出なかったのはアスランじゃないか」

「それはっ…!」




「―――それは?」


「………」



怒り顔?

焦り顔?

困り顔?


…あ!


「もしかして、早く僕に会いたくて慌てて家を出たからモバイル忘れちゃった、とか?」




「――言いたくない」




照れてる時、
片方の眉が上がるんだって…キミわかってる?


まったくもう。

子供みたいに拗ねるかと思えば、変なとこプライド高くて面倒くさい性格なんだから。


でもそんなのを全部ひっくるめて……


「大好きだよ?アスラン」





長い長い沈黙の後、
“俺もだ”と小さな声が返った。



◆END◆
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