リクエスト、献上、いただきもの

□護る形  恋次×一護(女)
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本当は怖かった
でもただ我武者羅に
護っていきたかったんだ
じゃないと自分を保てなかったから―――


最初はただ敵として対峙して、刀を交え、傷付け、逆に付けられ、何度だって戦った。
目的が同じだと判ってからは、同じ場所で特訓して、お互い力を増していって、頼れる存在になって。
傷も大分癒えて、互いに惹かれあって付き合いだして、一護が本当は女だったと言う事実にただ驚いた。
最初はどんなに男と偽っていた理由を聞いてもはぐらかされていたが、ある雨の日、少しずつだけど、一護が話をしてくれた。




「俺を護って死んだ母さんの代わりに、俺が幼い妹達を、家族を護るって決めたんだ。」



その為には、”女”であることは邪魔でしかなかった。
罪人と言う咎を負うには、”女”ではあまりにも非力だったから。




恋次は一護を抱きしめている腕の力を強くした。
今の一護は酷く空ろで、儚かった。
こうしていないと一護が消えてしまいそうで怖かったから。




「だから性別を偽って生きてきたのか・・・。」



小さくコクリと頷く一護。
その拍子に涙が一筋、頬を伝う。




「怖かった・・・。そうでもしていないと自分が判らなくなっていくから・・・。」



護られるだけだった弱い自分。
そのせいで失った大切な人。
家族から奪ってしまった大切な存在。
毎日毎日母さんを失う夢を見て、誰かを護ることに必死になって。
自分が今どこにいるのか、不安で泣いてしまいたかった。




「・・・大丈夫。ちゃんと護れてるさ。」



大丈夫なんて酷く無責任な言葉だけど、今の一護には必要な言葉だと思った。



「どんな形で護るにしろ、お前の家族が今笑って暮らせてるなら、ちゃんと護れた証拠だ。自信持て。」



女であるにしろ、男であるにしろ、護る形はどれも違うものだ。
まだ親の庇護下にあってもいい年齢で、女児である一護がどれだけの苦しみを背負って生きてきたかは判らない。
護れていないのではないかと言う不安も、男であろうとする反面、女として成長していく身体を見てより増していたかもしれない。
そんな一護に同情するわけではないが、彼女の心に少しでも近づきたい。
今恋次は痛切に願った。




「・・・もう一人で頑張らなくていい。俺がいる。・・・だから・・、一人で泣くな、一護。」



「恋次っ・・・!」




もう一人でなんて泣かせない。
抱き合って、背中を合わせて、互いの存在を感じて。
恐怖も、悲しみも、喜びも、全て二人で共有する。
それが、自分がここにいる証明になるから―――。




     <END>




後書き
更新停滞でごめんなさい・・・。(行き成り?!)
久々でございます。

何故か恋次×一護で書くと、シリアスになってしまう率が高い気が・・・。
でも、結構良く出来たと思います・・・。(苦笑)

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