他主人公受け
□散る花のごとく 幸村語り
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槍を一振りするだけで事切れる命。
自分を守るためでも、主を守るためでも、どんな理由にしろ自分で絶ってしまった命。
どんなに鍛えても強くなっても、変わる事の無い罪。
自分の選ぶ道のため、数多の命を絶たねばならない。
これは戦国に生きるもの、武士であるものの運命(さだめ)。
「初めて戦場に出たとき、自分が殺めてしまった命の重さと尊さに涙を流した事がありました。」
何故殺めなければならない?
何故戦わなければならない?
何故、命の灯を消さなければならない?
「沢山泣きました。父に兄に窘められても、涙が止まらなかった。」
今も時々散った命を思って泣くことはある。
でもそれは同情でも、侮蔑でもない。
ただ純粋に悲しいのだ。
こんな時代でなければ、平和な時代であったなら、散る事の無かった命だったことが。
「今も時々考えます。この運命(さだめ)が正しい事なのか、この時代を終わらせるために私に何が出来るだろうか、と。」
傲慢なことかもしれない。
自分如きの力では世界など動かせはしない。
民衆も兵もついて来ることも無い。
でも、それでも・・・。
「少しだけその答えが見えてきた気がします。三成殿や兼続殿、慶次殿や左近殿とこうして共にいられる事で。」
三成や兼続は眠ってしまった幸村の姿をじっとみていた。
ここの処余り寝ていない幸村を眠らせるため、少し酒を飲ませたのだ。
本人は酒には余り強くないと言っていたのだが、そこは言葉巧みに飲ませ、入眠を促した。
すると、酔いで何時もより饒舌になった幸村が語った言葉に二人は虚を突かれた。
「いつも戦場では鬼神の如く働き、平静では穏やかな笑みを浮かべている幸村がこのようなことを思っていたとは。」
「己の戦う理由、か・・・。」
皆が笑って暮らせる世。
それが秀吉様の望み。そして俺の望み。
だが、己自身の本当の望みとは・・・。
「フッ、それはまた明日考えればよい。今はただ・・・。」
「あぁ、今はただ心安らかに眠るといい。」
時代や運命の柵は暫し忘れ、眠れ心安らかに・・・。
<終劇>
後書き
初書き、戦国無双2!
結構難しかったぁ!!
んでも、ちゃんと幸村は愛されていたでしょうか?
なんか、義3人トリオで終わった気がしないでもない・・・。(苦笑)
まぁ、次書くか判らないので保留で・・・。(笑)