ゾンビだらけのこの街で
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「はぁはぁ、おじさんたち、どうなった……!?」
走って戻ってきた所為か、息が乱れる。私は女の子に掴みかかる形で真島さんと六代目がどうなったかを聞き出していた。
「大きなのを倒したと思ったらマンホールの中に消えちゃった」
その言葉に安堵した途端、腰から力が抜けてその場にしゃがみ込んでしまった。よかった。この下は賽の河原に続いてる。
心配そうに私を見詰めてくる女の子を軽く抱きしめ、出てくる涙を引っ込めようと頑張った。
こんなんじゃ、泣き虫だって言われても否定できない。
「お姉さん、おじさんたち大丈夫なの……?」
「きっと大丈夫。あのおじさんたちはね、この神室町で一番強い人たちなんだよ。だから大丈夫」
心配するだけ無駄だよ、と言ったのは女の子のためか自分のためか。もう自分でもわからなかった。
また会おう、って真島さんと約束したんだから、いつまでもうじうじ泣いてるわけにはいかない。
私は涙を拭い立ち上がり、生存者のみんなを集めた。
「私だけじゃ頼りないかもしれませんが、皆さんは私が必ず守ります。ですので、どうかお願いです。勝手な行動は慎んでください。守れるものも守れなくなります」
「大丈夫だよ。お姉さん、強いもん! ね、お母さん」
「ええ、そうね。……どうか、お願いします」
「あはは、ありがとう。こちらこそお願いします」
部屋の隅に移動して、弾の確認や武器を整備していると、安住さんに話しかけられた。また何か言われるのかと思えば、なんだか安住さんの顔がいつもと違う顔に見えた。
「済まんかったな。お前のこと、少し見直した」
「……え? もう一回言ってください!」
「二度と同じことは言わん」
安住さんはそれだけ言ってどこかに行ってしまった。あの人はたぶん大丈夫だ。何かあっても自分の身は自分で守れる。六代目の側近なんだから。
それから数時間しかたってないのに、何日も経ったかのような感覚に陥った。
食糧が底をつく前に何とかしないと、でもまだ余裕はあるしなんだかんだ言ってここも入口さえ死守すれば安全だし、とかいろいろ考えていると、ヒルズにある人がやってきた。
私はまだこの人が誰なのか、思い出せないでいた
「名前さん、よかった。無事だったんですね」
「え、長濱さん、どうしてここに!?」
「話は移動しながら。賽の河原に行きましょう。あそこなら安全です」
長濱さんの提案に、賛成する人は少なかった。だってそうだろう。わざわざ危険を冒してまで移動するなんて。でも、そんな悠長なことは言ってられない。
ここもいつゾンビに占領されるかもわからない。
何とかみんなを説得し、生存者たちを間に挟んで前後に武装部隊を置いてマンホールの中を進む。トラックで突っ込んできたアホな人たちも少しは反省してるのか、この提案にすぐ賛成してくれた。