ゾンビだらけのこの街で
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ゾンビは倒しても倒してもまたどこからか湧き上がってくる。
「あの、歩きながらでいいんで聞いてください。浅木さん、関西出身なんですよ、私」
「ええ、それがどうかした?」
「……それで、あの……そこで情報屋をやってたんです。それで郷龍会と深い繋がりがあってですね」
まだ頭が混乱してるせいで、自分がなにを言いたいのかわからない。とりあえず郷龍会と繋がりがあったことは伝えた。
あとは二階堂さんのこと。
「この騒ぎを起こしたのは間違いなく二階堂さんです。でもあともう一人いるんですよ、二階堂さんの他に」
「……あの車に乗っとったもう一人の男か? バッティングセンターでも出会うたわ」
「はい、おそらく。そこで郷田龍司とも会いませんでした?」
「おお、会うたで」
「実は、郷田龍司……龍司さんは兄のような人でして。龍司さんも私を妹のように可愛がってくれてたんです」
初めて話す事実に驚きを隠せない真島さんと桐生さん。浅木さんはかろうじて話についてきている。
「昨日までは龍司さんと行動を共にしてました。その時です、二階堂さんから電話があって、遥ちゃんに会わせられたのは。確かに龍司さんと二階堂さんは接触してました。けど、龍司さんは二階堂さんの誘いを断ったんです。だから、その……」
「……、名前の言いたいことは、充分わかった。安心せえ」
頭をパシンと軽く叩かれる。痛みからか何からなのか、ポロリと涙が流れた。
だから泣き虫だって言われるんだ、もう。
「よっしゃあ、そうとなれば早う賽の河原へ行くでえ!」
4人もいれば怖いものなしだ。
一階に集まってるゾンビを真島さんが引き付ける。私たちは援護にまわった。その一階のゾンビも片付け終わり、真島さんと合流する。
「賽の河原には外のマンホールから入れるんや。とりあえず正面玄関から出よか」
玄関ホールに溜まっているゾンビを一掃して正面玄関から外に出た。
そこにも随分とゾンビが集まっている。
もういい加減見飽きた。
「マンホールの中で挟み撃ちにされてもアホらしいなぁ。こいつらも片付けてくで!」
本当に楽しそうだな、この人は。
さて、足手まといにならない様に頑張りますか。