ゾンビだらけのこの街で
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「よし、真島さんを探しに行こう!」
と意気込んだのはいいものの、何処に探しに行けばいいのやら。
秋山さんたちと別れてからの数日間、私はとりあえず神室町を歩き回れる範囲で歩き回り、真島さんを探し求めていた。
真島さんの事だ。この状況を楽しんでるに違いない。だとしたら壁の向こうか。いや、情報を求めるなら秋山さんについていけばよかったかもしれない。
あの日、疲れたからと言って家に帰ってしまった自分を呪いたい気分に陥った。
さて、どうしたものか。
ここから賽の河原に行けるけど、秋山さんから何の連絡もないってことは、真島さんの情報がなかったと決め込んでもいいのか。
「……はぁ」
公園のベンチに座り、溜息を吐く。
どうしよう。真島さん不足のせいで何もやる気になれない。
真島さんを見つけたらあの細い腰に抱き着いて文句言いまくってそれからそれから……
思い浮かべることを実現できるかわからない今、最悪の事態を考えない様にするだけで精一杯だった。
いや、真島さんに限ってそんなことはない。
真島さんが死ぬなんて、あり得ない。殺しても死なないような人なんだからきっと大丈夫。
「ひゃひゃひゃひゃっ! 楽しい! 最っ高におもろいでえ!!」
ほら、今にもあの奇抜な笑い声が聞こえて……
聞こえ、て……
……ん?
その奇抜な笑い声が聞こえる方へと顔を向ければ、あの壁から出てくる黒い細身のパンツにパイソン柄のジャケット。歩くたびに揺れるジャケットの奥からちらちらと覗かせる立派な紋々。左目には白い蛇をあしらった黒い眼帯。
肩に担いでるのはショットガンだろうか。あの人が狂犬だと知っていなくても関わりたくないと思う人がいるだろう。
見間違いではないかと思い、何度か瞬きをする。
実に楽しそうに笑うその姿を、私が見間違えるはずがなかった。
……なんか、私だけ寂しかったみたいでちょっと悲しい。ポロリと涙を一粒流し、ベンチから立ち上がった。
「真島ごろぉおおぉお!!!!」
名前を叫びながら、走って真島さんの背中に突進した。不意打ちなのに少しよろけるだけのその体は、やっぱり鍛えられてるんだなと再度確認した。
「……おう、名前か。なんや、久しぶりやのぉ」
「久しぶりやのぉ、じゃないですよ!! なんで電話してくれなかったんですか!? ほんまに心配してたんですから!! っていうかなんで帰ってきてくれへんかったんですか!? 私、真島さんがおらんかったらよく寝られへんのに!!!!」
よし、言いたいことは言えた。