ゾンビだらけのこの街で
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じきに日が落ちると言うことで、今日はもう休もうって話になった時、六代目から嫌な話を聞いてしまった。
「ヒルズの中にゾンビが紛れ込んだらしいと言う情報が」
「そしたら、この建物の中にゾンビが潜んどるっちゅうことか?」
マジっすか。こんな話を聞いてやすやすと眠れるわけがない。
入り込んだのは3体だけ。でも組の人が狩りに行ったっきり誰も帰って来ないらしい。
あぁ、真島さんがそんな話を聞いておとなしくしていられるわけがない。
「わしらでゾンビ狩りいこうやないかい」
ほら。
「ですがヒルズの中は広い。やみくもに探してもラチがあきません。連中をおびき出すような手があればいいんですが」
「それやったら……アレやな」
「アレ?」
「オトリを出すんや。ゾンビの好物いうたら、なんやと思う?」
「好物、と言われましても……なんです?」
「人間しかいないじゃないですか、六代目」
「ちゃうちゃう。……ズバリ、バカップルや。TPOをわきまえん、サカリのついたカップルやねん」
答えを出した真島さんを意味深な目で見る六代目と組員の人。
「……バカップルなら俺の目の前にいるじゃありませんか」
「ドアホ。名前を危険な目に合わせられるかいな」
「(バカップルなのは認めるんですね)」
……じゃあ今までのは一体なんだったんだ。真島さんが隣にいてくれるならなんだって頑張れそうなのに。
やっぱり、秋山さんより頼りになります真島さん。秋山さん、ごめんなさい。
「ま、そうと決まったらオトリのカップルを緊急募集や。で、まんまと出てきよったゾンビをズドン、と。これでいこうやないかい」
「わかりました! 俺にできることがあれば何でも言って下さい」
わかったのかよ! っていうか真島さんの作戦に賛成なのかよ!
人選は真島さんに任せると言うことで、生存者の中からカップルを探しに行く真島さん。私は六代目の隣で突っ立っていた。
どうせなら私もついていく。オトリじゃないならかまわんだろう。
「足手まといになるんやないで、とか言ってはりきってたのに」
「あの人の気持ちもわかってやれ」
「……はいはい、六代目の言う通りにしますよ」
拗ねた口調でそう言うと、隣からため息が聞こえた。
六代目と一緒になって準備をしていると、真島さんが戻ってきた。一人で。