ゾンビだらけのこの街で
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苦戦しながらもゾンビを倒し終え、秋山さんが先に戻ると言ってマンホールの中に消えた。
「桐生さん」
その時、誰かが桐生さんの名前を呼んだ。六代目だ。
「大吾か」
シリアスな場面なのに、私は六代目の女装姿を思い出して笑い出してしまった。何事かと不思議な顔を見せる浅木さん。後で見せてあげますね、六代目の女装姿。
そんな私に構わず話を続ける桐生さんと六代目。
「お話、伺いました。……遥ちゃんが、二階堂の手に……」
「花屋か……」
「ええ。心中、お察しします」
「ああ」
「ひとつ、花屋から、伝言があります」
「ん?」
「桐生さん……神室町に凄腕のガンスミス……銃の改造屋がいるって話、聞いたことは?」
「いや……」
「あ、私は聞いたことあります」
龍司さんが言っていた人は、たぶんこの人だ。
「そうか。無駄足になるかもしれません。ですが、彼が無事なら……強力な武器が手に入ります」
「……面白え話だ。そいつは、どこにいるんだ?」
「千両通りにある黒鉄ビル。そこで義肢装具士……つまり、義手や義手職人の看板を出しているそうです」
やっぱりそうだ。龍司さんの言ってた人だ。
六代目は俺も行くと言ったけど、桐生さんが賽の河原を守ってもらいたいと言って六代目を賽の河原へ向かわせようとした。
しかし渋る六代目。桐生さんの言うこと聞かないと女装写真見せますよ。
「いいんですか? あのブツ、二人に見せますよ?」
二人には聞こえないようにそっと耳打ちをする。六代目は卑怯だと言わんばかりの視線を寄越した。
だってそうでもしないとついて来るでしょ。
「だったら……私が行きます。お任せください。桐生さんをしっかり護衛します」
「……フッ」
「名前より頼りになる護衛だ。……では、お気をつけて」
「……(覚えとけや六代目ぇ)」
浅木さんが装甲車が壊れていないことを確認して。これに乗って行こうと言い出した。
大丈夫かな。普段の神室町ならスムーズに行けると思うけど、今の神室町じゃあそこら辺の道が塞がってる。
まぁ、歩きよりかは早く着くよね、ってことで装甲車に乗って出発した。
しかし私の心配事は見事に的中するのであった。