ゾンビだらけのこの街で

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「浅木、名前。お前たちはここに残るんだ」

「こっから先はな、わしらの戦いなんや」

「……でも」


言い返そうとした浅木さんを遮って、龍司さんが桐生さんの名前を呼んだ。


「足、ひっぱんなや」

「行くぜ」


私たちを置いて出て行こうとする桐生さんと龍司さん。

ここに残れ、と言われて素直に残るほど私は大人じゃない。それに、ここまで来てそれはないんじゃないですか。

私は机を叩いて立ち上がり、口を開いた。


「私も行きます。二階堂さんには言いたことがあるんです」


2体の龍に睨まれ少々尻込みをしたものの足を踏ん張って2人を睨み返す。


「……せやったらわしが伝えて来るわ」

「直接言わな気ぃ済まんのです!」


それに二階堂さんには直接謝ってもらわないと。


「すまん桐生。こいつが危ない時はわしが動くさかい」

「……わかった。名前、ここからは激戦になる。俺も龍司もお前を守れないかもしれない。それでも来るか?」

「かまいません。自分の身は自分で守ります。今までもそうしてきたことですし」


もう私は、押し入れに閉じこもってるだけの子供じゃない。それに、真島さんとの約束を守らなきゃならないんだ。私はこんなところで死ぬわけにはいかない。

私の覚悟を思い知ったのか、桐生さんはもう一度「行くぜ」と口にした。


ガンスミスの店を出て、隔離エリアに入りミレニアムタワーを目指す。今までとは比にならないくらいのゾンビを倒しながら確実にタワーとの距離を詰める。


「ここやな」

「ああ。……ん?」

「のぉ、桐生。こいつら、遊んでほしそうやで?」

「命知らずのゾンビですね」

「アホ。もう命ないわ」

「あ、そうでした」

「フッ、いいコンビだな。……ついてこられても面倒だ。全員、寝ててもらうぜ」


雑魚を全員倒し、ミレニアムタワーを見上げる桐生さんは「遥……」と呟いた。

桐生さんみたいな人が父親なら良かったのに、と場違いなことを思いながらいざミレニアムタワー内部へ。

エレベーター前のゾンビを片づけてエレベーターに乗り込む。しかし途中で停まってしまった。原因は上にいたゾンビのせい。

そのゾンビを倒して、桐生さんが開くボタンをおすも、ドアは開かなかった。

3人で顔を見合わせて首を横に振る。抉じ開けるしかなさそうだ。
 
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