ゾンビだらけのこの街で
□15
1ページ/3ページ
「浅木、名前。お前たちはここに残るんだ」
「こっから先はな、わしらの戦いなんや」
「……でも」
言い返そうとした浅木さんを遮って、龍司さんが桐生さんの名前を呼んだ。
「足、ひっぱんなや」
「行くぜ」
私たちを置いて出て行こうとする桐生さんと龍司さん。
ここに残れ、と言われて素直に残るほど私は大人じゃない。それに、ここまで来てそれはないんじゃないですか。
私は机を叩いて立ち上がり、口を開いた。
「私も行きます。二階堂さんには言いたことがあるんです」
2体の龍に睨まれ少々尻込みをしたものの足を踏ん張って2人を睨み返す。
「……せやったらわしが伝えて来るわ」
「直接言わな気ぃ済まんのです!」
それに二階堂さんには直接謝ってもらわないと。
「すまん桐生。こいつが危ない時はわしが動くさかい」
「……わかった。名前、ここからは激戦になる。俺も龍司もお前を守れないかもしれない。それでも来るか?」
「かまいません。自分の身は自分で守ります。今までもそうしてきたことですし」
もう私は、押し入れに閉じこもってるだけの子供じゃない。それに、真島さんとの約束を守らなきゃならないんだ。私はこんなところで死ぬわけにはいかない。
私の覚悟を思い知ったのか、桐生さんはもう一度「行くぜ」と口にした。
ガンスミスの店を出て、隔離エリアに入りミレニアムタワーを目指す。今までとは比にならないくらいのゾンビを倒しながら確実にタワーとの距離を詰める。
「ここやな」
「ああ。……ん?」
「のぉ、桐生。こいつら、遊んでほしそうやで?」
「命知らずのゾンビですね」
「アホ。もう命ないわ」
「あ、そうでした」
「フッ、いいコンビだな。……ついてこられても面倒だ。全員、寝ててもらうぜ」
雑魚を全員倒し、ミレニアムタワーを見上げる桐生さんは「遥……」と呟いた。
桐生さんみたいな人が父親なら良かったのに、と場違いなことを思いながらいざミレニアムタワー内部へ。
エレベーター前のゾンビを片づけてエレベーターに乗り込む。しかし途中で停まってしまった。原因は上にいたゾンビのせい。
そのゾンビを倒して、桐生さんが開くボタンをおすも、ドアは開かなかった。
3人で顔を見合わせて首を横に振る。抉じ開けるしかなさそうだ。