【在留邦人心得】

◆海外安全の基本は、(1)未然の回避努力、(2)万一に対する日頃の備え、(3)事故が起こったときの適切な対応――の3つのポイント。これを常に念頭に置いて、慎重・細心な行動をすることが大原則となる。

◆何が危険かを知ること(敵を知ること)
孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という有名な言葉があるが、防犯対策を講じるうえからも同じことが言える。すなわち、自分が旅行し、あるいは生活する所において、「自分および家族の生命、身体および財産の安全を脅かすものは何か」を自分なりに分析し、その実態を知ることが防犯対策の第一歩である。
 このような観点から、旅行や赴任に先立ち、その国や土地の政治・経済・社会情勢をある程度研究したうえで、各種の旅行案内書や生活情報誌を読破するとともに(ただし旅行案内書の中には、安全性を無視し、好奇心をあおり立てているものもあるので要注意)、現地での新聞・TV等の報道に普段から関心を持つことが大切である。

◆防犯対策に労を惜しまないこと
 海外に赴任したり、旅行する場合には、前述のとおり、そこに存在する脅威について、事前に十分研究する必要がある。安全性の高い住居に住もうと思えば家賃が高いし、住居の選定に時間と労力を要する。また、海外での不時の病や事故に備えて保険に加入するには、それなりの出費を余儀なくされる。
 すなわち、日本に比べ治安の悪いところで生活したり、旅行するには、それ相応の努力が要求されるわけで、これを避けて通ることはできない。自分と家族の安全を守るのは自らの責任であるとの認識を持って、所要の防犯対策を講じていくことが肝要である。またこの努力が、危険な状態に陥ることを防ぐ「抑止力」にもなるのだということを忘れてはならない。

◆使用人について
@ 採用前、採用後も身元調査を継続する。
A 使用人に対しても自宅・電話等に関する安全教育を行う。
B 使用人の外出先、外泊先等は確認しておく。
C 友人関係について承知しておく。
D 使用人に仕事、外出先、帰宅時間等、必要以上の話をしない。
E 使用人の知人を自宅内に入れない。また家族不在時に、使用人の判断で、家人以外の者を自宅内に入れさせないようにする。
F 夜間、使用人に起こされても不用意に寝室の扉を開けない。
G 解雇は慎重に行う。
H 帰国が決定しても、早急には伝えない。

◆凶悪犯罪防止上の基本的な注意事項
 殺人、強姦、強盗等の凶悪犯罪から身を守るためには、一言でいえば、「危険な場所に近づかない」こと。
 したがって、自分の身を守るためには、危険な地域や危険な状況下に立ち入らないよう努力することが、まず最も重要なことになる。たとえニューヨーク市の中心街であっても、夜間の殺人事件発生件数は昼間の2倍以上であることを考え、人通りの少ない場所での単独行動は極力避けるべきである。
 このように、日本人の中には無知・無警戒、好奇心、欲望等のために自ら進んで危険な状態に陥る者もいるが、一歩間違えば生命を失うような凶悪犯罪に巻き込まれる危険性がある。海外では防犯対策上、自らの行動にある程度ブレーキをかけることも大切。
ピストル強盗、いわゆる「ホールドアップ」に遭ってしまった場合は、生命の安全を第一に考え無抵抗に徹し、次のことに注意して金品は相手に与えてしまうことが重要。
 相手に手向かう意志があると疑われるような行動をしないこと。
 「ホールドアップ」に遭ったときは、この金を相手に示して持って行かせるようにするのも一つの方法である。

◆「渡航情報」
 海外渡航者の安全を図るうえで必要な情報で、都道府県旅券窓口および旅券業界等に提供しています。内容に応じて、「渡航自粛勧告」、「注意喚起」、「周知」に分けられます。特に「渡航自粛勧告」は、特定の国・地域への渡航を自粛するよう勧めるものです(法的な拘束力はありません)。

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