神様はじめました

□神様になる
1ページ/8ページ


私、姫神朔羅と申します。


先程ギャンブル好きの父の借金で家を追い出されたばかりです…。

しかも、その父はいつの間にか家出をしていました(苦笑)


私は今、公園に来ています。





『う〜ん…どうしましょう…』





私ががぽつりと声を溢すと何処からか男性の声が聞こえてきました。





「誰かぁ〜…」



『?』





何処から聞こえるんでしょう…?


そう思い、周りを見渡すと、
犬にほえられているその男性が木の上で怯えているのを見つけました。





「助けてください〜!

その犬をどけてくださ〜い!」





木にしがみつき、泣いていました。





『犬さん、あちらにお行きなさいな』





私はそちらに近づき、犬さんにそういうと言葉が分かったのか、犬はそこから去って行った。





「はぁ…おかげで助かりました」





男性はそう言って木の上から降りてきました





「久しぶりにこの街に戻ってきたのですが、
突然犬に絡まれちゃいまして…」



『お犬さん、お嫌いなんですか?』



「はい、ダメなんです…。

はぁ…やっぱり私、この土地の者には歓迎されてないんだなぁ。」





土地…?
あ、もしかして…





「君もこの土地の方ですか?」



『あ、はい。

と言ってももう住む家無くなっちゃいましたけど…(微笑)』





それから、私は今までのことを簡潔に理由を話しました。

するとミカゲさんがいきなり泣き出して、そんなミカゲさんに
私はオロオロと慌ててしまいました。




「なんと!お父さんが借金を?

それはさぞ家出したお父さんをお恨みでしょうね…(泣)


恥ずかしながらこの私も家を捨てた身なのです。」



『え…?』



「あれから数十年、家の皆は如何しているやら…

巴衛なんかは私の顔を見た瞬間に飛び蹴りしてくるに違いない。」





ともえ、さん…?
奥様でしょうか…


と、疑問が浮かびましたが言葉にはせず、
ミカゲさんをなんとか元気づけようと言葉を紡ぎました。





『でも、ミカゲさんには帰る家があるんでしょう?

私にはもう帰る家はありませんから…(微笑)』



「…私の家を譲りますよ」



『ふぇ…?』



「ずっと家をあけてるわけにもいかないし、
貴女が住んでくれれば私の肩の荷が降りる。

そして何より君の方が私よりあの家に相応しい」





ミカゲがそう言った時、私の額にやわらかい感触が…





『…〜っ!?/////』





ミカゲさんに額にキスされたと気付いた刹那、
私の顔が熱くなりました。





「このメモの所に行ってみてください。


ミカゲに言われて来たと言えばきっと君を迎えてくれます。

新しい主として…――」



『あの、ミカゲさんってもしかして土地神様だったりしますか…?』



「!えぇ…ですが、正確には“元”ですけど…。

それでは朔羅さん、彼をよろしくお願いしますね」



『…?はい』



「ふふ…」



ミカゲさんは暗い夜の闇へと消えて行きました。


そして私はよくわからないままメモ通りに道を進み、
しばらく歩き、辿りついたそこは…



誰も来なさそうな神社、でした…――














  
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ