神様はじめました

□神様、ねらわれる
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『ん…ふわぁ…っ』





朝、おきると寝る前とは違う部屋になってました。

先日のように布団の近くには着物も置いてあり、
虎徹君、鬼切君が座っていました。





『あの…ここは…?』



「はい、社の本殿」



「朔羅様のお部屋でございます」



『この家具などは…?』



「朔羅様がお暮しになりやすいようにと」



「巴衛殿が揃えたものでございます」



『巴衛さんが…?』





どうしてでしょう…?

私の思ったことが分かったのか2人が説明してくれました。





「昨日、めでたく巴衛殿を神使に迎えられたではありませぬか」



「髪のお世話は神使の勤めでございます」





そう言われ、昨日のことを思い出し…

は…っ!巴衛にキスされたんでした…////





『と、巴衛さんは…?』



「巴衛殿なら先程から」



「朔羅様のすぐ御傍に…」





2人が向いた方に視線をやるとそこには
巴衛さんが此方に背を向けて座っていました。



やはり、神使は嫌々だったのでは…





『あの、…』



「おはよう、朔羅」





振り返り、爽やかに挨拶をしてきた巴衛さん。





「お前の寝所が荒れていたので
お前が寝ている間に設えさせてもらったのだ。

思いつく限りの者は用意した。


今日から俺はお前の神使。

この巴衛、お前の命とあらば事のいかんに関わらず従うことやぶさかならず。


これから不便があれば遠慮なく俺に言うと良い。」





そう終始、爽やかな笑顔で言った巴衛さん。

失礼ですが…逆に怖いです…





『それはありがたいのですが、
私は自分の身の回りのことは自分で出来ますし…


巴衛さんも自由でいたいのでしょう…?

そこまでやっていただかなくても…』



「これは俺が自ら進んでやったこと。

神使だから、という義務ではない。
それを覚えておけ。


それから巴衛さん、ではなく巴衛でいいと言ったはずだが?」





言われていたことを忘れていて慌てて言い直しました。





『と、巴衛…』



「それで良い。

早速だが土地神について説明するぞ。」



『あ、はい。お願いします。』





説明してくれるというので座りなおしました。





「(ふむ…礼儀正しいな…)

神の力を通力と呼ぶ。


通力は使うことによって増すのだが…

朔羅が通力レベルをあげるためには、
まず人の祈願を聞き、叶えて行くのが手っ取り早いな。」



『祈願を叶える…』



「例えばミカゲは縁結びの神。

縁結び祈願を山ほど叶えてきた故、縁を結ぶ通力は非常に強力だ。」



『ここって縁結びの神社だったんですね。』





私が思ったことをそのまま口に出すと巴衛は少し呆れてしまいました;

すみません…(苦笑)





「では朔羅の通力がどれほどのものかみてみよう」





そう言って用意されたのが…
水の入っている桶でした。



何をすればいいんでしょう…
少し緊張します…。





「この水を酒に変えてみよ。

白札を使っても構わん。」





そう言って白札が渡されました。

私は白札に“酒”と書き、水に浮かべました。


ちゃんとお酒になっているか虎徹君が調べてくれるみたいです。





「こ、これはうまい…――!




――…お酒に御座います!」



『本当ですか…!?』



「はい!」



「ふむ、俺も飲んでみよう…

…確かに酒になっているな。


しかも美味い。」





巴衛にも褒められ、とても嬉しいです…!


それから私は着物に着替えて
今は巴衛と一緒に朝食を作っています。





「ふむ…料理もなかなかのものだな」



『本当ですか?嬉しいです(微笑)』



「だが、神の世話が俺の勤め。

こうも自分でできてしまうと俺のやることがなくなりそうだ。」



『それなら一緒に仕事をやりませんか…?

私も全部巴衛に任せてしまうとやることなくなってしまうので(苦笑)』



「!…あぁ(微笑)」



『!…////』





朝食が作り終わり部屋に戻ってそれを食べているのですが…
1人で食事は寂しいですね…。


巴衛は食事を食べる習慣はないそうですから…

私がこうしてご飯を食べている間も巴衛はせっせと仕事をしてくれています。



ついていたテレビでは

超人気アイドルのKURAMAが宇治上高校に転入したと騒いでいました。


宇治上高校…?





『と、巴衛!私、学校です…!』





色々あり過ぎて学校という存在を忘れていました。





「ダメだ。」



『ですが…』



「お前を狙う妖怪がいるのは知っていよう。」





扇子で口元を隠しながら言う巴衛。





「土地神であるこの印、
それをお前みたいな(か弱い)女が頂いているのだ。

奴らに(いろんな意味で)食ってくれと言っているようなものだ。」



『ですが私、勉強しないと…』



「そんなもの、そこに行かなくとも出来るだろう。」



『それはそうですけど…』(ションボリ…



「う…っ;

そんなに行きたいなら行かせてやろう。


…ただし条件がある。」



『…?』



「これをつけて行け。」



『こ、これはちょっと…

額を隠すならなんでもいいんでしょう?』



「あぁ」



『これでどうでしょう…?

こうやってまけば、隠れるでしょう?』



「ふむ、それで良い。」



『それじゃ、行ってきますね。巴衛。』



「あぁ、気をつけて行ってくるのだぞ。」



『はい』





先程の会話…


渡されたのはネコミミの、小さなお花が付いた頭巾で…

さすがにそれをすると擦れ違う人々の笑いものにされてしまいます…


それは嫌なので代わりに、と私が出したのは

バンダナで額が隠れるように、でも出来るだけおしゃれにまいて

巴衛をなんとか説得できました。


ですがやはり、制服にバンダナなので少し不思議な目で見られますが
先程の猫の頭巾よりはマシだと思って過ごすことにいたしましょう。





※不思議な目ではなく、見惚れてる目です鈍感ちゃんなんです。













 















 
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