神様はじめました

□神様をやめる
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今、下界では廃神社の噂が広がっていた。

その噂は朔羅の耳にも入っていた。







『巴衛、そんな所でどうしたんですか?』



「ふむ…鳥居に枝が掛かってきたのでな、枝を落とそうか思案していたのだ。」



『あの、巴衛…聞いて欲しいことがあるんです…』



「?」







社に戻り、瑞希さん達も呼び本題に入りました。





『ミカゲ社で秋祭りをしたいんです。』





私が言うと巴衛以外のみんなは賛成みたいで盛り上がりました。





「わあ!楽しそう!僕賛成!」



「ばかばかしい。客寄せのための祭事など俺は知らんからな。」





やっぱり巴衛には反対されてしまいました…;







あの後、ミカゲさんに触るなと言われていた倉のなかにおみこしがあり、
取り出そうとした所、何かが落ちてしまいましたが大分奥に落ちて取れませんでした…。

おみこしをだすとそれは大分ぼろぼろで…


そう言えばおみこしは神のこしで人間の私では乗れませんし…

おみこしはあきらめましょう…。


先程の倉に戻り、何かないかと探してみようと
梯子に乗り、奥のものを取り出そうとしたのですがバランスを崩してしまって後ろへ倒れ…――


襲ってくるであろう痛みに構えたのですが
その痛みはなく、目を開けると巴衛の顔がすぐ近くにありました。

どうやら私は横抱きされているみたいです






『巴衛…?』



「全くお前は…危なっかしい奴だな。

昨日今日参拝者が消えたわけでもない。
お前が来る前から社はこんな状態だったのだ。

土地神になったからといって気に病むことはない。」



『私は巴衛がいつも綺麗にする手水舎を参拝者に使って欲しいです。

社殿には塵一つ落ちていないし、お賽銭箱にもゴミなんて入ってません。


そういうのをみなさんに知って欲しいだけです。


私は神様らしいことはできませんけど…
人が出来る範囲でなら努力すればなんとか…』



「お前が気付かないだけだ。」





巴衛が私の言葉を遮って私を抱えたまま歩き出しました。

巴衛が立ち止ったのは社殿の前でした。





「ここの空気が澄んでいるのはお前がいるからだ。

無人の社は瘴気のたまり場…。


いくら俺でも祓うことはできん。
お前が初めて来た時、ここがどうだったか覚えていよう。


随分綺麗になったと思わないか?

それにここを綺麗にしているのはお前もだろう?

俺一人では此処まで出来んだろう」



『巴衛…』





やっぱり私はここを廃神社なんて言われたくありません。

それから私は秋祭りの呼び込みの紙?を作って街に出て呼びかけと共にそれを配りました。

















『と、いうわけで。お祭りまであと1週間です。

どういうイベントを行えばいいか、何か提案があれば聞かせてください。』



「はい!僕は、お酒を大瓶に用意して大盤振舞いっていうのがいいなぁ!」



「どこにそれだけの酒がある?」



「アイディアを出しもしないで人の意見を批判するのはどうかと思うよ!?」





自分の意見を批判された瑞希さんが
ひとり、後ろで座って様子を見ていた巴衛に詰め寄りました。




「なら…何匹か妖怪を捕えて来て見世物にでもすればいい」





巴衛は真剣にそういいました。
瑞希さん達もそれに納得してしまいました;

どうしましょう…みなさん浮世離れしてます…;

妖怪を連れてきたら参拝者を増やすどころか減ってしまいます…





「食い物は保健所からの許可がいるからやめた方がいい。

祭なら御神楽舞ったりとか社務所でおみくじとかでいいんじゃない?」





凄い煙の中、鞍馬君が派手に登場してきました。





「おぉ!」



「神楽!」



「みくじ!」



『それいいですね!凄いです、鞍馬君!』



「……何故お前が此処にいる!」





巴衛の言葉を聞いた鞍馬君が私が送った手紙を見せました。





「朔羅に手紙をもらったのさ。

無能な狐たちだけでは心配だとよ。


はい、これ土産。名家、イモ恋」



『わぁ…鞍馬君、ありがとうございます!』



「(おもしろくない…)

神楽なら昔、此処でも行われていたぞ。」



『…?』



「朔羅では荷が重いだろうと思って言わなかっただけだ。」
























『わぁ…綺麗ですね…』





その衣装があると言うので見せてもらっています。





「服の上からでよい、着てみるか?」



『え、いいんですか?』





巴衛が着方などを教えてくれながら着せてくれました。





「随分…様になった…」



『ほ、本当ですか?

社を大切に守ってきた巴衛が認めてくれたんですからきっとうまくいきますよ!』



「ふ…そうだな。
やるからには祭に間に合わせるからな。

厳しく教えるから覚悟しておけ。」



『ふふ、頑張ります…!』





























 
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