神様はじめました

□神様、デートに誘う
2ページ/3ページ


私は女の子達と話していた鞍馬君の背中に
空気、と書いた白札を貼り、鞍馬君にお願いをして科学室の前に行ってもらいました。






その間、私はと言うと巴衛を連れて
屋上からあみさんと鞍馬君が話している所を見ていました。





『あみさん、なんとかお礼が言えたみたいで良かったです。』



「すぐ安受け合いするのはお前の悪い所だな。


あんな吹けば飛ぶような女を煽ってどうする?

鞍馬は妖怪だ。妖怪と縁を結ばれたとあの女がお前に感謝などすまいよ。」



『分かっています。

ただ、今が幸せであればその後は恨まれても構いません。』




「…馬鹿か」



『(苦笑)』





巴衛にはそう言われてしまいましたが
人の為になれたので取り敢えずは良かったですよね…?





『巴衛もたまには人と接してみてはどうですか?』



「その必要はない。俺は、お前が守れていればそれでいいよ。」





目を見て真剣な表情で言ってきた巴衛に私の鼓動はドクン、と高鳴りました…




















「姫神先輩ですか?」



『はい、そうですけど…』



「ちょっと話があるんですけど…」





そう呼ばれてついていけば女の子に
巴衛と一緒に帰りたいと言われて私は了承してしまいました。





そして私は巴衛がゴミ捨てに行っている間に
先に帰ります、という手紙を巴衛の机に置いて、私は屋上に向かいました。










私は壁を背に、座り込みました。


勝手に安受け合いして、勝手に後悔してる私は巴衛の言うとおり本当に馬鹿です…


こんなにモヤモヤするくらいな最初から了承しなければよかったです…。




膝を抱えてそう考えていると、
前に誰かが立つ気配がして顔をあげるとそこには巴衛が立っていました。





「どういう了見だ!これは!

俺に人間の娘と仲良くさせたかったわけか?」



『聞いて…』



「聞いていた。仲を取り持とうと気を遣わせたつもりか?

めでたい奴だな…。余計な気を使って勝手立ちまわるな。


――…俺にとってお前以上に優先すべきことなどない。自覚しろ」



(俺のことを想っていないと改めて実感させられてイライラする…)















「で、こんな所に呼び出して何の用だ?天狗。」



「先日、屋上でのお前たちの会話が耳に入ってきたんでねぇ。

世慣れした俺が無知な狐に一言忠告してやろうと思ってさ。」





この2人が話すのは、蝋燭が1本灯っていて
他の者に邪魔されぬよう作りだした異空間…





「屋上での会話?」



「お前…あの様子だと朔羅に恋慕っているだろう?」



「…ありえんな。」





巴衛は図星だったのか扇子で口元を隠し、視線をそらして言った。





「朔羅に他の女との仲を持たされてイラついてたんじゃないのか?」



「朔羅は主人で俺は神使だ。そんなことは許されない。」



「ふん、まあいいさ。お前は迂闊な狐だな…

朔羅の年ごろを思春期と言って、普通の娘ならつがいを求める時期だ。


人間に、ましてや主人に惚れられるのは不本意なんだろう?

もう少し取扱いに注意すべきだ。


自分の主ときてはことは重大だよな?」



「俺の振る舞いが朔羅を惑わすと?」



「神使も大変だよなぁ。

人間のしかも、娘の世話なんて…


だから手っ取り早く俺を土地神にしておけb…」



「ばかばかしい。

この世で現在俺に命令できる唯一の存在は
恋だの何だの現をぬかすそこらの娘と同じだと?


なめるなよ、天狗。」



「ふ、…やれやれ…時間だ。」





灯っていた蝋燭の灯が消え、2人はその異空間を作っていた教室から
何事もなかったかのように出ていった。
















その頃、教室…





『やっと期末終わりました…。』



「あれぇ?巴衛君何処に行ったの?」



『確か…鞍馬君と購買部行ったみたいです。』



「そっかぁ」





期末が終わりあみさんとケイさんと教室で話していました。





「ねぇねぇ、せっかく試験が終わったからさぁ、みんなで何か食べて帰ろうよ!

私おすすめのドーナツ屋さんがあるのぉ」






あみさんがそう言ってくれました。





「私パス。彼氏とデートだから。」



「えぇ!?ケイちゃん付き合い悪い!」



「私は男を取るよ。」



『すみませんが私もちょっと…』



「朔羅ちゃん、いつも忙しそうだもんね」



『せっかく誘ってくださったのにごめんなさい…』



「そんな!ぜんぜん気にしなくていいよぉ」



『ありがとうございます(微笑)』



「「、!////」」



『いいですね、お出かけ…』



「巴衛君と行ってきたら?」



『ええ?でも彼はとても忙しいですから…』



「そんなの絶世の美女からの御誘いだよ?

断ったら男じゃないね。」





私達がそんなことを話していると巴衛が帰ってきました。





「朔羅、帰るぞ。」



『あ、はい』





ケイさんがあんなことを言っていましたが巴衛は何時も家路を急ぎます。

社の仕事を放ったままだと言って…


でも、…今日だけ…





『あの、巴衛…』



「ん?」



『まだ昼過ぎですし、何処かにお出かけしませんか?』





























 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ