神様はじめました

□神様、デートに誘う
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そうして私達は水族館に来ました。





『わぁ…!水族館です…!』





水族館に来たのは初めてなのでとても感動していました。

後ろにいる巴衛はダルそうですが…;


やっぱり、そのまま社に戻った方が良かったみたいですね…;


でも、来てしまいましたし、はやい所見て帰りましょうか…





水族館も大体廻り、終盤にさしかかった頃、
私が後ろを向くと、巴衛は大分疲れたようで…





『付き合わせてしまってすみません…

顔色が悪いですけど大丈夫ですか?』





そう言って巴衛の頬に手を当てようとしたんですが…

巴衛にぱしん、と手を払われてしまいました。



そういえば鳴神姫様の件の時も…
2度、払われていました…







(魚にキラキラと目を輝かせている朔羅が可愛らしく思えて…

触れていたら俺は…朔羅を抱きしめていたかもしれん…。)





『…すみません(苦笑)』



「え、あ、…」





私は払われた手を1度見て巴衛に視線を戻し謝りました。






『…今日はありがとうございました。

社のこともありますし帰りましょうか(微笑)』



「…いや、…」



『?』



「…、あそこに行ってみないか?」





そう言って巴衛が指した先は展望台でした。





『!、はい…!行きたいです(微笑)』



「、っ////」



















そうして展望台へ来ました。





『とっても綺麗です…!

来て良かったです!ね、巴衛?


…巴、衛…?』





柵に近寄り絶景に感動して後ろにいた巴衛の方を向くと
巴衛が此方をじー、と見ていました。





「……1つ聞いておきたいことがあるのだが…

お前、俺に懸想してないだろうな?」



『、!……』



「天狗が言っていたのだが思春期の娘は男に色めきやすく、お前も例外でないと…
俺との主従関係を色恋沙汰にすげ替える危険があると…。


ま、天狗の戯言だな。忘れろ。」



『…、…』





私は無言で目の前にあった柵を飛び越えた。





「おい!朔羅!」





それを咎めるように巴衛が呼び、柵に近づいてきました。





『もし、私が巴衛のことが好きだと言ったらどうするんですか…?』



「っ!?」



『私は巴衛が好きです…。』



「き、気の迷いだ…」



『…巴衛が認めたくないのは分かっています。

…神使に恋をしてしまうような私の神使になって巴衛も後悔してるんでしょう…?


最初から、したくなかった子供の守りや、ご飯づくり、身のまわりのこと…

最近では無理に学校に通い始めて…


巴衛だってしたいことがあるはずです…
無理して、神使なんて…


私のそばにいる事、無いんですよ…――?』





私の目からは涙が流れていて…


最近では泣かないようにしていましたから
目に涙をためることはあっても流すことはありませんでしたから…


そんな私が涙をながしているのを初めて見た巴衛はとても驚き、目をみひらいていました。





「朔羅、ちがう、俺は…」





巴衛が言いかけた時、下から突風が吹きあげ、
私の体はその風に煽られて足を踏み外してしまいビルから落下していきました。





「朔羅っ!!」





毎日練習していた通力で助かることもできますが、今はそんな気になれません…。





「朔羅っ!」





閉じていた目を開けるとそこには此方に手を伸ばしている巴衛の姿が…





「こっちだ!手を伸ばせっ!」





巴衛…っ

どうして…っ?無理をしていたんでしょう?
私がこのまま落ちれば自由になれるんですよ?

なんで…っなんで助けようとするんですか…っ!




巴衛が私の手を掴んだ瞬間、私は…





『触らないでください!』





そう叫んでいました。


その刹那、その言葉は言霊となりバチッ、と強制的に放させられました。







(言霊か…っ!)


「この馬鹿、死にたいのか!」



『私に触れられて欲しくないんでしょう、?

だったら助けないでくださいっ!


神使をやめて自由になりたいのならそう言えばいいじゃないですか…っ!』





私のことを思ってくれる人なんて生まれた時から居ませんでした。

いつも上辺だけ…いつも褒められるのは容姿や表面上…


いまさら、私のことを思ってくれる人なんて…――





「朔羅…っ!朔羅っ!」





巴衛の強く呼ぶ声に私は堅く閉じていた目を開けました。





「頼む!もう二度とお前を悲しませたりなどしないと約束するから!

お前をひとりにしないと約束するから!


だから頼む!朔羅を、お前を助けさせてくれっ!」





その刹那、私の頬には温かいぬくもりが…

その温かさは次第に体中を包んで…


目を開けると、丁度私を横抱きした巴衛が
静かに地上に降り立っている所でした。

私は横抱きにされたまま、巴衛の肩に頭をうめました。





「…朔羅、俺は俺の意志でお前のそばにいると、神使になった頃に言っただろう?


それは今も変わらない。

俺はお前の神使、それはこれからも変わりない。



…それと、先程の…あれ、だが…」



『…っ』





きっとそれは展望台での告白のことを指しているんでしょう…





「先程、あぁは言ったが…

俺も好きだ、朔羅…――」



『え…!?』





私はフラれるとばかり思っていて身を固くしていました。

ですがその巴衛の言葉に驚き顔をあげると巴衛は優しく微笑んでいました。




その笑顔に見惚れていると唇にやわらかい感触が…

私の視界には巴衛の顔が…





『ん…っ!?』





キスされているのだと気付くのにそれ程時間はかかりませんでした。

しばらく続けていると、息が続かなくなり巴衛のシャツをぎゅ…ッと握ると
巴衛がそれに気付き、ちゅ…と音をたてて離れました。




「ふ…可愛いな…」



『と、巴衛…、///』



「ん…?」



『え、と…?』



「お前は俺が好きなのだろう?

俺もお前が好きなのだ。キスして何が悪い?」





そう当たり前のように言った巴衛。





『巴衛…』



「ん?」



『…好きです』



「ふ、…あぁ、俺も好きだ」







私達はこうしてお互いの感情に気付き、手をつないで社に帰って行きました。





























 
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