神様はじめました

□神様、海へいく
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「お前が水遊びしてくれるのをずっと待ってたぜ、巴衛…

海を統べるこの龍王様の顔、見忘れたわけじゃあるまいな!」





その男性は来ていたコートを脱ぎ、顔を見せました。


巴衛とは知り合いのようなのですが…
巴衛は彼を見てから固まったように動きません…


後ろを見るとそこには倒れたあみさんやケイさん、周りにいた人たちが倒れていました。





『あみさん、ケイさん…!』



「悪いがギャラリーには遠慮してもらうぜ。

これから旧友の借金を取り立てねぇとならねぇからな。」





そう言った龍王さんの後ろから大きい貝の様なものと
イソギンチャクの様なものが現れました。





「さあ、何の事だか…」





巴衛がそう言った瞬間、イソギンチャクみたいなものが巴衛を掴み持ちあげました。





『巴衛…!』



「頭の悪い狐に思い出させてやろう!


562年と208日前、5時28分41秒。妖狐、巴衛…
竜宮北門にて龍7頭他、3匹、エイ5匹、海牛一個小隊を殺傷、壊滅。

北門その他、建造物の破壊。被害は竜宮北の棟、ほぼ全壊。


そしてこの龍王、宿儺の右目を奪い、逃走。



この貸付の代金、利子込みできっちり体で払って貰うぜ!


おおしろちょうだい!」(すみません、漢字が分かりませんでした;)





すると先程の貝の様なものの口が開き、その中に巴衛が入れられてしまいました。





「ははは!じわじわと貝の養分にされちまいなぁ!

2日もすれば特大真珠の出来上がりだ!」



「さすが龍王さまです!うみうし」



「憎き野狐も今の龍王様の敵ではありませんでした、うみうし」



「あたぼうよ!526年と208日間、毎日筋トレしてたからなぁ!

さっそく竜宮に戻って宴の祝いだぜ!」



『盛り上がってる所すみませんが…』



「なんだ?あの娘は…なぜ起きている?」



『巴衛が野狐だったのは随分と昔の話です。』



「俺には関係ねぇな。海牛、運べ」





龍王さんがそう言うと巴衛を入れた貝は海の中へと沈んで行ってしまいました。





『巴衛を返してはくれませんか?』



「…あの狐にはでっかい貸しがある。

それを貸してもらわねぇと筋が通らねぇ…


諦めな。」



『どうすれば巴衛を返してもらえますか?』



「ふん…そうだな…


奴にとられた俺の右目を返せば、
命だけは助けてやらねぇこともねぇかもな。」





そう言って右目にしていた眼帯をはずしました。





「俺の目は不老長寿の種。飲み込んだ者は強力な力を得ると言われている。

526年前、おれはそいつを一怪の妖に取られちまった。


つまりこの龍王が、顔に負けを刻まれたわけだ!」





そう言って龍王さんは眼帯をつけ直しました。





『その目を返せば巴衛を返してくれるんですね?』



「その目を返せば…ってお前簡単に言うなぁ。

526年経ってんだ、もうどうにかなっちまってるよ。つうわけで、諦めな。」



『待って下さい!』



「あん?」





片手をあげてそう言った龍王さんを引きとめました。




『目を取り戻したら巴衛を助けてくれると、約束して下さい。』



「…どうする気かしらねぇが…

いいだろう、2日だけ狐を質草に待ってやる。」



『ありがとうございます。

それと、1つだけ此方から忠告です…。


巴衛、もしかしたら暴れるかもしれませんので、気をつけてくださいね?』





きっと巴衛は無事だと思ってます。

ですが…





「?まぁいい、その言葉、脳のほんの片隅に置いといてやる。」





















その後、私はみんなと旅館に行き私は今、のんびりお風呂に入っていました。

龍王さんの右目を手に入れられる方法は1つしかありません。


私はお風呂から上がり、部屋にあった着替えの浴衣をきて部屋に戻りました。





『瑞希さん、ちょっといいですか?』



「ん?」





私は瑞希さんの手を引っ張って人気のない所に連れてきました。





『時廻りの香炉を貸してほしいんです。』



「!」





それから私は事情を話しました。







『時廻りの香炉でもう一度過去に行って昔の巴衛から龍王さんの右目を奪い返すんです。

龍王さんの目を返せば巴衛の命は助けてくれるって言ってましたから…


だから…』



「いいよね、巴衛君は…
こんなに愛してくれるご主人様がいてくれて…

憎たらしいな…」



『あ、あい…!?///』





瑞希さんにいきなりそんなことを言われて顔がとても熱くなりました//





「ふたりを見てたら分かるよ。つきあってるんでしょ?


…巴衛君のこと嫌いなんだよね、僕。

このまま、僕の目の前から消えてくれればいいって思ってるよ。


多分、この感情は妬みとか嫉妬とかいうやつ。

朔羅ちゃんは誰かのことそういうふうに思ったことない?


教えてよ…。この気持ちは、どうやったら収まるの?」





椅子に座っている私と目の高さを合わせそう言った瑞希さん…。





『ごめんなさい、私…瑞希さんに甘えてしまっています…。


ですが、私は瑞希さんのこと、好きですよ?

もちろん、友達として…(微笑)』





私がそう言うと瑞希さんは驚いたようで目を見開かせていました。





「す、き…?」



『はい(微笑)

それにこれは瑞希さんにしか頼めません。』





すると瑞希さんはす…と立ちました。





「神様にそれを言われると弱い…」





そう言って香炉を取りだしました。





「過去をいじくるのはタブーなんだ。

でもまぁ、神様のやることだから咎める人もいないでしょ。」



『持ち歩いているんですね、それ…』



「うん。家が水没してから大事なものは持ち歩くことにしてるんだよねぇ。

前回は魂だけ飛ばしたけど…
今回は実体のままあちらに行く。

僕も御供するけどただのガイドだからね。
後のことは自分でやりな?」





私の意識は瑞希の言葉を聞くと薄れて行きました…。

次に目を開けるとそこは雪がふぶいている海岸でした。






















 





 
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