神様はじめました
□神様、海へいく
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『瑞希さん?』
私が周りを見渡しても瑞希さんの姿はなくて…
「そんな薄着で寒かろう?このかずきが欲しかろう。」
『え…?』
「お前の中にあるその龍王の目、あたしにくれたらあげたらいいよ。」
『え…』
「朔羅ちゃーん!」
その女性は瑞希さんの声を聞くと振り返り、闇の中へと消えて行きました。
「朔羅ちゃん?はぐれないでよ…
危ないなぁ」
『瑞希さん、今の女性は…?』
「あれは磯姫って妖怪。海辺でよくカモになる人間を待ち伏せしてるんだ。
…いいの?巴衛くん探さなくて」
瑞希さんの言葉に私は少し歩くと、
前には何かを引きずって歩いている髪の長い巴衛の姿が…。
「巴衛ぇえ!」
「よくも我らの宮殿を荒らしたな!龍王様の右目を返せ!」
先程、巴衛を捕まえて貝の中に入れたあのイソギンチャクのような妖の類が
昔の、今目の前にいる巴衛に襲いかかりました。
ですが次の瞬間には巴衛の狐火で燃えていました。
「ふん…お前たちに構っている暇はない。」
そしてその時、昔の巴衛と目が合いました。
…彼がまだ闇の中にいる、私の愛しい人…――