軽死神
□悪魔との仕事
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「ロナルド・ノックス」
不意に声をかけられてそっち振り向くと、そこには難しい顔のスピアーズ先輩とサトクリフ先輩。
何かと思って近付けば、俺に頼みたい事があるとか。
でもまぁ、俺の返答次第ではあるけれど、特に勤務時間には影響しないだろうってことなんで、話だけでも聞いてみることにした。
とりあえずついてこいと言われて連れて来られたのは、空き部屋になっている扉の前。
扉を開くと、そこには椅子に縛り付けられた、まだ若い悪魔の姿があった。
腰の辺りから蝙蝠のような羽を生やした、男の子の姿をしている。
「えっ……なんでこんなとこ(死神派遣協会)に悪魔が?」
俺の問いに、スピアーズ先輩は戸惑うこともなく、淡々と説明を始めた。
「コレは私と、グレル・サトクリフが捕らえた悪魔です。上からの命令で、この悪魔は生かしておくことに決まりました。死神としての仕事を教えろとのことでしたので、ロナルド・ノックス、貴方に任せようと思いまして」
そんな、冗談じゃない。
悪魔だなんて、ただでさえ面倒なものを何故生かしておく必要があるんだ?
それに死神の仕事をさせるだなんて、もしも魂を奪われたらどうするつもりだ。
と、そんな俺の考えはバレバレなようで、スピアーズ先輩は悪魔の肩に手を置いた。
「上の方針については分かりかねますが、魂の事については心配しなくても、大丈夫そうですよ」
そういったスピアーズ先輩の横で、サトクリフ先輩が怪しく笑う。
「この悪魔は、淫魔のようですから」