DRR1303

□ずぶ濡れな猫は裏路地を這う
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ザァー、ザァーと無機質な音を鳴らす雨が池袋の道アスファルトを塗らしていく

その雨の中、傘を差さずに無我夢中に走り誰も居ない裏路地に入り込みその場に座り込む黄色い少年。

「は、ぁっ・・やっと・・巻いた、か・・」

どうしてこんなに走って息が上がっているかと言うと、数時間前に遡る。

正臣が1人で池袋の街をのんびり歩いていた時に変だと察知する数人の男から声を掛けられ、正臣が振り向く。その時に正臣を殺す気だったのだろう

ナイフを正臣に向け刺してきた。それに反応するもタイミングが遅く、そこまで深くはないが脇腹に傷を負ってしまった。

そこで此処から逃げなくては、と思いタイミングを見計らいその場から逃げて来た訳だ。

しかし、こういう流れではやはり相手は追いかけて来るのでそう簡単に休む暇は与えて貰えなかった

そして現在に至る

「は、っ・・痛っ・・」

ズキズキする。
傷口がジワジワと広がっていき正臣のパーカーの腹部は血が染み付いている

「くそっ・・血が・・」

正臣がそう言ってこの場を立ち去ろうと立とうとした、その時だった

「大丈夫?」

正臣にとって聞きたくない、思い出したくない相手の声だ。

「い、臨也・・さん・・」

「やあ。どうしたのその格好?雨と血に濡れてびっしゃり。」

「別に。臨也さんには関係ありません」

「男に刺されたなんてカッコ悪くて言えないのかな?」


一瞬正臣は耳を疑う。

「ど・・・どうして、それをッ・・」

その質問に臨也はにっこりと笑みを見せてはっきりとこう答えた。



「・・だって、紀田くんを刺せって頼んだのは俺だもん。」




臨也の口がニヤリと笑うのが、ハッキリと正臣の目に写った
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