DRR1303

□歪んだ愛
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俺、紀田正臣と折原臨也は恋人同士である。

しかし最近は臨也が忙しいのか放置されているのか連絡をくれない

しかし自分から行くのも癪に触るので何もしていなかったのだが

今日突然帰宅途中にケータイが揺れ
メールが届いた。

今日、来て。

と。


何て勝手な、放置しておいて来いなんてふざけてる。

はぁ、と無意識に深い溜め息を吐いてしまう

仕方なく踵を返し臨也の居る新宿へ向かう。


帰宅ラッシュで電車が混んでいて大変だったがなんとかマンションまで辿り着いた

「さて…どうすっかな」

入り口まで来たは良いものの、ドアを開ける勇気が出ない。

なぜか心臓がバクバクと脈を打ち、手が冷たくなってくるのが分かる

少しの期待と不安が入り交じっている
何日も会っていない寂しさとその為の不安と緊張、とても不快。

そんな風に思っていながら渋々ドアノブに手を掛けてみる。

ガチャリー

あれ?開いてる

ふう、と一呼吸おき臨也が居るか確認する。

「臨也さんー?」


キョロキョロと周りを見回してみるが見当たらない。
ただ、不自然だったのは臨也の寝室が少し開いている事。

不自然に思いそっと近づき覗いてみた

「開いてる…。臨也さ…っ!?」

呼吸が止まりそうになった。

ギシリ、ギシリとベットのスプリングが軋む音、しかも卑猥な水音。

そして、女と男の吐息。


ただ、何も無心になったと言うのか呆然としてしまった。人間驚くことがあるとこうなるんだと改めて感じたくらいに頭が真っ白になった。

「ッ……!」

ボロボロと無意識に涙が溢れてくる
泣きたくもないのに目頭が熱くなり体も熱を帯びていく

しかし声を出して泣くと2人に勘づかれてしまうので唇を噛んでなんとか我慢している状態。


ー帰ろう


今、俺にはそれしか無かった
見なかったことにしよう
どうせ解りきっていた事なのだ

臨也は人間が好きで俺なんか好きにならないってことを

「はっ…バカらし…」

そう自傷し、ふらふらした体勢でそっと玄関へ向かい、早く帰らなきゃと言う一心で靴も大雑把に履くとドアノブに手を伸ばした。

伸ばした筈だった

しかし、伸ばした手は糸も簡単に掴まれくるりと体を反転させられその腕を掴んだ本人と向き合わされる

「…うあっ!?」

「何処行くの?」

平然と身なりを整えて俺の手首を強く掴んでくる。口元は笑っているが目は本気で怖い

効果は無いと思いながらも抵抗として臨也を思いきり睨み付けてやった

「別に…早く離してください。帰るんです」

「なあに、その目。誘ってる?」

ふふ、っと喉を鳴らして笑う

死ねよ、と思ったが黙っておいた

「いいえ。はやくさっきの女の人と続きでもしたらどうですか。」

あ、と間抜けな声を出した時点で既にアウトだった。

「やっぱり。見てたんだね」

この人に嘘は吐けないと
改めて思った

仕方なく俺は大袈裟に溜め息を付いてやり悪態を吐く

「別に。見てたら何か?」

「嫉妬した?」

「……」

わざと黙ってやった。
嫉妬どころではない、言葉で表すなら嫌いだ
嫌いである

「ーです、」

「え?」

臨也がこちらを驚いた顔で見てくる
自分でも驚いた

また、更に泣いているのだから
しかし、そんな事は気にしてられない
もう言いたいことは言おうって今決めた。

「嫌いだッ…アンタなんか世界で一番っ…大嫌い、憎い、死ねばいい」


はあ、はぁと呼吸をしながら相手を見上げると、満足そうに微笑み口を開いた

「それで良いんだよ、もっと俺を憎んで?もっと愛してよ。俺は君を人以上に愛してるんだからさ」

臨也さんが掴んでいた手首を口許に近づけると赤い舌を出して舌を這わせてくる

「んっ…馬鹿…もう良いです俺があの女を抱く臨也さんになるなら首締めて殺します」

「いいねえ、そうしてよ。俺は人間愛を止めるつもりないし。でも、今回の俺の行動は紀田くんが原因なんだからさ。何より…正臣構ってくれなかったし…」

何より、の後小声で臨也は言ったつもりだが、聞き取れたのでくすりと俺は笑ってしまう。


ー(ねえ、臨也さん。証拠見せてよ
俺を愛してよ、俺も憎くて大嫌いだけど、それでも好きなアンタを愛すから。)


ふ、と臨也と目線が合い手首の締めていた手も緩められ頬に添えられヒヤリ、と冷やされ唇を塞ぎ目を閉じ強く抱き締めた。そして自分の片手を臨也の細く白い首に手をやり軽く締めてやった

(死ぬ時は一緒)


ー歪んだ愛






××その後

「ところで、あの女の人ってあのとき何処に?」

「裏口から帰って貰ったよ。俺と正臣のイチャイチャを邪魔して欲しくないしねえ」

「そうですか」

「あれ、デレないの?」

「死ね」









デレて貰えない臨也さんでした
ただ首締めてる正臣描きたかっただけ!

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