DRR1303
□ずぶ濡れな猫は裏路地を這う
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「は?アンタどういう事だよッ!!」
動揺と苛立ち。正臣にはそれしかなかった
どういうことだ、臨也さんが仕組んだ?どうして。
そう思いながら正臣は強く睨み付ける
そんな正臣を見つめるとこの事件の主犯者となる青年は笑う
「あははっ、紀田くんのその顔。どうして?って顔してる。それとキミが睨んでも怖くないよ」
「黙れ・・ッ!そんな事よりどうしてこんな事を・・!」
正臣の細い華奢な腕が臨也の胸ぐらを掴もうと飛びかかろうとした、その時だった。
その飛び掛かろうとした勢いで傷が痛みだしたのだ
「ッーー!」
痛みで声が失われた状態だった。
「あーあ、怪我してるのに暴れちゃ駄目じゃないか。」
正臣の傷に未だ降る雨の粒が零れ落ち
それと共に痛みのせいで目から涙が落ちる
「は、っ・・死ね・・」
正臣にとって今出来る精一杯の反抗だった
そんな正臣を見つめていた臨也はそっと正臣の目の前に座る
「何すか・・もう、どっか行けよ・・」
涙と雨で濡れる正臣は臨也を睨む
「嫌だね。俺がどうしてあの男達にこんな事させたか分かってないじゃないか」
そう言いながら臨也は正臣の腹に顔を近づけると正臣のパーカーを捲り上げ、傷を見つけると舌を出し猫の様に舐め始めた
「ひぁっ・・!?」
正臣は突然の相手の行動に何時もは出さない様な声を出していた
「な、何するんですか!!止めろ・・!」
相手を引き剥がそうとするが一向に退く気配がない
「消毒だよ。大人しくしてて」
正臣は臨也に抵抗しようとするが力が抜けてしまい動くことが出来ず大人しくなってしまう
「いざ、臨也さ・・やめっ・・」
臨也は正臣の言うことなど気にもせず器用に舐め続ける。唾液を絡め傷に沿いながら丁寧に。
そして唐突に青年は問う
「あのさぁ・・俺があの男達にキミを刺せって頼んだ理由、分かる?」
「知りません、よ。」
「原因わからない?自分でさぁ。」
苛立ったように臨也は正臣を見上げた
「俺はマジで何も・・ッ!」
「あー、苛つくなぁ。」
がぶり、という音が似合う様な程臨也の舐めていた口が正臣の傷口に噛みついた。
当然の事ながら痛い。
ヒリヒリする、ジンジン?そんな感じだ
「うぁぁっ・・!!」
正臣は痛みで声を上げ体を震わせる
「声抑えないと人来ちゃうよ?」
そんな正臣の声を聞いて楽しそうに意地悪く臨也は微笑む
「ヒント。昨日だよ」
昨日、だと?
正臣は戸惑いながらも精一杯過去を思い出す
昨日は平日でふつーに学校行って放課後、丁度出会った静雄さんと会話して、会話して・・それで別れて帰っただけ。
正臣自身何が目の前の男、折原臨也を怒らせたのか分からない。
「昨日は、普通に学校行って放課後静雄さんと会って話して帰っただけですけど。」
「それだよ、それ。怒らせた原因。シズちゃんと話してただろ?こうやって抱き締めながらさぁ・・」
正臣が呆気にとられている間に腰に手を回され強く抱き締められる
「・・あ、あの。」
正臣が戸惑いながら問いかけ臨也がにこりと返事を返す
「何さ?」
「そ、それって・・嫉妬、すか?」
「俺が嫉妬させられるとは心外だけどね。だからまぁ・・・責任とってよ。
正臣くんを傷つけていいのも触れていいのも汚していいのも俺だけなんだから」
臨也が何時もより怒った様な声でそう言った
「はっ・・・アンタ最低・・」
正臣は弱々しく目の前の人物に冷たく言い放った
そうしている間に
臨也がそっと正臣の耳に唇を寄らせ吐息と共に言葉を紡いだ
「ほら、此処じゃ責任取れないだろ?俺の家に・・おいで。」
裏路地を這う君は凄く似合う
けれどたまには俺の家で這うのも良いんじゃない?
此処からはあまーい時間だよ。
ーずぶ濡れな猫は路地裏を這う
*あとがき
話の中で正臣路地裏這ってないけれど
路地裏似合うんだよ!這ってる姿に悶えてしまうんだ…妄想失礼しました\(__)