▼企画
□その手に触れて
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「その書類を資料室に置いてこい」
今日は調査兵団の本部で仕事。
中々の厚みのある書類の束を抱えながらおぼつかない歩みで人類最強の後ろをついていく。
「俺はこれから簡単な会議に出なきゃならねえ。30分程度で終わる。それまでにその書類片付けろ」
「はっ…はい!」
これ結構重いぞ…。
さっき兵長が軽々しくこれ持ってきたけど、あの身長でよく運べたなぁ…さすが人類最強。
口が裂けても言えないようなことを考えながら自分より小さい背中を追う。
その背中には自由の翼が描かれていた。
―――なんか視線を感じる。
ふと視線をずらすと、なにやら人がこっちを見てコソコソ話している。
エレンの場合は無理もないだろう。いつもなら全く気にしない。
けど、今日は何か違った。
その背中にあるのは、翼ではなく立派な角を生やした一角獣。
憲兵団のヤツらがこんなとこにいるなんて珍しいな…。
4、5人でかたまっているヤツらを横目に通り過ぎ、少ししたところでリヴァイが止まった。
「じゃあ俺は行く。30分後、ここに戻ってこい」
「はい、解りました」
リヴァイは振り返りもせずにスタスタと行ってしまった。
エレンも重い書類をおろすべく廊下の先にある資料室へとやや早足で向かった。
そんなエレンの後ろ姿を、背中に一角獣を背負った男たちがじっと見つめていた。
「…あいつか?」
「間違いねえ。リヴァイと一緒にいただろ」
「なかなか良い顔立ちしてんのな」
「思う存分楽しませてもらうぜ?
エレン・イェーガーくんよぉ…」