▼エレリ

□木漏れ陽の下@前編
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「エレンってさ、
兵長のことすきなんでしょ?」

「…はい?」



清掃中のエレンに不躾な質問を投げかけたのは、リヴァイ班の紅一点、ペトラだった。

思わず雑巾を床に落としてしまい、暫く呆気にとられ、慌てて拾い上げる。



「ちょっとエレン、挙動不審すぎるよ」

「え、あ、いやっその、なぜペトラさんがそれを…?」

「まさか、あれを無意識だとでも言うの!?」

「ちょちょちょっと待って!話の主旨が全然掴めないんですけど」



目を見開いて迫ってくるペトラを宥めて落ち着かせる。
ペトラ自身も自分を落ち着かせようと深く深呼吸をしてからエレンに向き直った。

何故か生唾を飲み込む自分がいた。



「エレン…最近よく兵長のこと見てるよね」

「はぁ……え?」



つい間抜けな声を出してしまった。



「い、いや…確かに最近兵長とよく目が合いますけど…。
俺、そんなに見てます?」

「うん。食事中も訓練中も。さっきも兵長とすれ違ったときなんか」

「ああぁぁぁーーーッ!!なんかもういいです聞いてて恥ずかしくなって来ちゃいましたよ…」



思わず耳を塞いで聞こえないふりしてそっぽを向いてしまった。
全ては自分の無意識な行動が招いたことだというのに。

ペトラは短いため息をついて、話をもとに戻した。



「ねぇエレン、その恋わたしに手伝わせてくれない?」



またまた衝撃発言。
なんだって?俺の兵長への片思いを、手伝う?



「な、なんで…?」

「女子ってこういう類の話しがすきな生き物なの!知らないの?」

「知らなかったです」



知らないのも当然と言えば当然。
エレンの周りにいた女子なんてどれも色恋に花を咲かせるようなやつじゃなかった。
強いて言えば、クリスタとユミルぐらいか。あとハンナ。フランツといつもベタベタしてた。



「うんまぁそれは置いといて…。
わたし、もっとエレンのこと知りたい。同じ班の仲間だし、もっと仲良くなりたいし、だからお願い!」



言っていることは無茶苦茶な気もするが、ペトラの目はしっかりエレンを捉え、強く真っ直ぐ見据えている。

この人、本気だ…。



「わ…解りました。じゃあよろしくお願いします」

「いいの?じゃあこれからよろしくね!」
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