▼エレリ

□木漏れ陽の下@前編
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ペトラが歓喜の声を上げたときだった。



「おい」



背筋が震え上がった。
噂をすれば陰とはまさにこのこと。

ゆっくり振り向くと、そこには眉間に皺を寄せたエレンの思い人がはたきを片手に仁王立ちしていた。

妙な緊張感と圧迫感に額から冷や汗がでて、心臓が高鳴る。



「掃除さぼってお喋りとは、いい度胸だなぁ…エレンよ」

「何で俺だけッ!?」

「お前ちょっと来い。躾のし直しが必要だな」

「だから何で俺だけなんですか!?ちょ、ペトラさんたすけっ……!」



エレンの必死の抵抗も虚しく部屋の外に引きずり出されていった。


そのあとひとまず助かったペトラはホッと胸をなで下ろしていたらしい。

畜生、理不尽すぎるだろ…。



―――



夕飯を食べている間に、エルドが真っ赤に腫れ上がっているエレンの顔を指摘した。



「エレン、その頬どうしたんだ?」

「これはそのっ…!」



訳を話そうものなら、今にも項の肉が削がれるのではないかというほど鋭い視線に睨まれて、たじろぐことしかできなかった。
その瞬間、エルドの隣からチッと舌打ちが聞こえた。

みんな同じことしか考えてなかった。



ああ、躾られたんだな…。



部屋に流れる沈黙が重い。
その沈黙を破ったのはペトラの明るい声だった。



「エ、エレン!今日のスープ美味しいね!兵長もそう思いませんか?」



また無言の時間が流れた。
この時間が結構辛い。

誰かの固唾を飲む音が聞こえた。



「…まあ、悪くない」



リヴァイの一言にエレンの表情がパッと明るくなっが、それも束の間。

すぐにオルオの批判が飛んできたが舌を噛んで呆気なく終了。自業自得。


その間、リヴァイは黙々とエレンの作ったスープを食べていた。

それに気づいたエレンがリヴァイに熱い視線を送っているところをペトラが見逃すはずもなかった。
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