▼エレリ
□林檎と花と初恋と。
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取り落としそうになったカバンを持ち直し、未だ硬直したまま動かない少年に背を向けた。
「…すまん、じゃあこれで」
「あっ、待てよリヴァイ」
「ついてくるな」
同じタイミングで歩き出し自分の後を追おうとした少年に一喝し、靴箱の中の靴と内履を交換したのちその靴を履く、という極単純な行動を取り校内を出た。
後方から、少年の声がする。
「またなー、リヴァイーっ!」
空気を切るように澄んだ声が鼓膜を震わせる。しかしそれを無視してリヴァイは振り返ることもなくポケットにしまい込んだ生徒手帳の形を布の上から確認する。
ひたすらに歩き続け校門をでたあたり、またもや口から零れた望まれない溜め息が春の虚空に溶けて消えた。
("またな"って、なんだよ―――)
To be continue...