▼企画

□優しく抱き寄せて
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エレンは今日もせっせと働く。

窓拭きに、廊下の雑巾がけに、風呂掃除。
それが終わると立体機動の訓練に馬の世話と刃の補充、おまけにハンジが来て巨人の生態実験にも付き合わされた。
日が暮れると夕飯の支度を始め、食べ終わると全員の皿を綺麗に洗う。

そして今日の報告書を纏め上げチェックをもらう。
この時間だけが唯一リヴァイと二人きりになれる特別な時間と言っても過言ではないだろう。



「兵長、報告書ができました!」



笑顔で紙の束を差し出してくる。

くそ天使が。


エレンに告白されてから1ヶ月が経つ。
付き合い始めの頃は、この時間をゆっくり堪能したものだ。
キスはもちろん、まだ一度だけだが身体を繋げたこともある。

だが今はどうだろうか。

最近のエレンは、抱き寄せてもくれないし手も繋いでくれない始末。


…正直、さびしい。

報告書に一通り目を通してからエレンに向き直る。



「……まあいいだろう。」

「ありがとうございます!」



それでは失礼します、とそそくさと部屋を出て行こうとする。
リヴァイは慌てて引き止めた。



「待てエレン!」

「…はい、なんでしょう?」

「お前…俺のこと、すきか?」



言ってしまった。

エレンがちゃんと自分を思ってくれていることなんか解っている。

目が合えば微笑んでくれるし、なにかと気を遣ってくれている。

なのに二人だけの時間になると急に冷たくなってしまうエレンに不安を抱いている自分がいるのだ。


エレンは少し黙り込んで、眉を顰めながら笑ってかえした。



「…なに言ってんですか、当たり前じゃないですか」

「じゃあ…」

「あの、すいません、今日のハンジさんたちの実験で少し疲れてるんで…。
今日はこれで。おやすみなさい」



エレンはこちらを振り向かずに部屋を出て行ってしまった。
エレンの笑顔が目に焼き付いて離れない。

―――心臓が、いたい。

椅子に腰を下ろし、頭を抱えて悶々と悩むリヴァイの部屋にハンジが突然入ってきた。



「やあ兵士長殿。どうした?お疲れかい?」

「黙れクソメガネ、殺すぞ」

「ヒドイなあ。そんな態度とってると、エレンに嫌われちゃうぞ〜?」



"エレン"に反応して、表情を曇らせながら深い溜め息をついた。



「え、なに、ホントどうかしたの?
まさか喧嘩でもした?」
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