▼企画

□その手に触れて
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書類を指定の場所に片付け、エレンは軽く肩を回した。



「あー重かった…兵長そろそろ終わるかな」



リヴァイとの待ち合わせ場所に向かおうと資料室を出てから少し経ったときだった。

どこから現れたのか、さっきの憲兵団の男たちがエレンを囲んだ。



「…なんですか」

「お前がエレン・イェーガーだな」



ニヤニヤしやがって…気持ちわりい。

エレンを見ながらクスクスと笑う男たちを一人一人睨みあげる。
おそらく20代半ば程だと思われる。
にやついているだけでなにもしてこない。



「俺になんか用ですか」

「んー、まあね」

「エレン・イェーガーくんさ、今から俺らと遊ばね?」

「は?」



なめてんのかコイツら…。
つか仕事しろよ仕事。



「そんな時間ないんで。憲兵団様はさっさと内地に帰って王の護衛でもしててください」

「んだとてめぇ…」

「調子扱くなよガキが」

「まあまあ、落ち着けよお前ら。相手をよく考えろ」



一瞬で表情と声色を変えた男たちに少し身震いした。

これが大人の迫力ってやつか。
でもリヴァイ兵長ほどじゃねえな。

エレンは少し口角をあげてみせた。
それが気に入らなかったのか男たちの表情がさらに険しくなった。



「なに笑ってんだよ」

「まあいいじゃねぇか、そう急ぐなって」

「うるせえぞてめえら。…大丈夫、なんも怖くねえから」



リーダーらしい男が顎をくいっとあげた。



「やれ」

「んん"っ!?」



それを合図に、後ろからエレンの口元に布が押しつけられた。
なんだか甘い香りがする。

意識が朦朧として、自分の脚では立っていられない。
後ろの男に身体を預け、そのまま意識を手放した。
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