▼企画

□その手に触れて
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「…おそい……!」



なにやってるあのクソガキ。書類片付けんのに何分かかってんだ。

待ち合わせ場所に姿を現したのはリヴァイだけ。
かれこれ10分以上は待ったがエレンは来ない。



「あのバカ、帰ったら躾だな」



ぶつくさと文句を言いながらエレンを探しに歩き始めた。

少し先の廊下の角で金髪のエレンの幼馴染みと馬面の新兵が立ち話をしている。

あれは確か…エレンと同じ104期生のヤツらか。


微かだが、話の単語だけが聴きとれる。



「…でな、俺が……したら…エレンが……」



―――エレン?

なんか、嫌な予感しかしねえ。


リヴァイは早足に新兵に近づいていった。



「おい」

「はッ!リヴァイ兵長!お疲れさまですッ!」



いきなり声をかけられてビックリしたのか、馬面の方が拳を左胸に押し付けて硬直している。



「お前ら、エレンがどこ行ったか知ってるか」

「あ…っ」

「なんだ」



血相を変えて互いの顔を見合う二人の固唾を飲む音が聞こえた。



「あの、遠目からだったんでエレンって確証はねぇんすけど…。
さっき憲兵団のヤツらがエレンを抱えて出て行くのを見たんです」

「……!どこに行ったかは解るか」

「旧本館の方に…」

「わかった。礼を言う」



それだけ言うと踵を返してその場をあとにした。


あのクソ野郎共…!

さっきすれ違ったときから様子がおかしいと思ってたら…それが目的だったのか。


リヴァイは目に明らかな殺気を滲ませながら旧本館へとつながる長い廊下を全速力でかけていった。
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