▼企画
□Cantabile
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とても魅了的に感じた。
その大きな手に触れたとき。
「きみに敬意を。エレン、これからもよろしくな」
胸の奥が締め付けられるような、そんな感じがした。
まだ、もう少し触れていたかったけど人類最強の威圧感に気圧されて、その手は呆気なく離れていってしまった。
「なあエレン…俺を憎んでいるか?」
まあ憎んでないと言ったら嘘になりますが、そんなこと言えるわけもなく。
それからすぐ、被験体の巨人二体が殺されるという事件が起きた。
エルヴィンがエレンに近づいていき、肩を抱きながら問いかけた。
「きみには何が見える?敵は何だと思う?」
―――顔が近いです、団長。
緊張してなにも答えられずにいると、すまなかったとだけ残して去っていった。
自分の目が、無意識にその大きな背中を追っていたことに気づいた。
これがエレンの、少し奇妙な恋の幕開けだった。
―――
「…レン……おいエレン!」
「はっはい!?」
「なにボーッとしてる。ちゃんと聞いてんのか」
「す、すいません…聞いてませんでした」
はあ、と溜め息をつかれた後、チッと舌打ちをされた。すげぇ怖い。
リヴァイに部屋へ呼ばれた。
話の内容は、明日本部に行ったときにエルヴィンに会うということ。
エレンは内心舞い上がっていた。
やった、会える!団長に!
「…なに浮かれてんだ、気持ちわりい。遠足じゃないんだからな」
「わ、解ってますよっ!」
今日は早めに寝よう。
―――と思ったのに。
「くっそぉ…興奮して眠れねえ」
軋むベッドの上で思春期のエレンは一人悶えていた。
エルヴィンのことを考えると、いつも眠れなくなってしまうのだ。
な、なんか勃ってきちゃったし…。どうしよ。
「んー…しょうがねえ、一回だけ」
上体を起こすと、ベッドがギシリと音を立てた。
ランプの灯が揺れる地下室でエレンはズボンと下穿きを膝辺りまでおろし、硬くなりはじめた自身をゆっくり掴んだ。
そうだ、どうせヤるんなら、エルヴィン団長を想像しよう。
あの大きな手で包み込まれて擦られたら、どんなに気持ちよくなるのだろうか。
次第にエレンの吐息は湿り気を帯びていた。