▼企画

□Cantabile
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「お前…エルヴィンの野郎がすきなのか?」

「そ、それは……っ!」



やっぱり解ってしまったか。

後始末をしてズボンを履き直すエレンに投げかけられた言葉。

知られてしまった。俺が、団長に恋心を抱いていることを。



「あ、あの…」

「なんだ」

「エルヴィン団長には…いっ言わないでください、お願いです」



心なしか瞳を潤ませて、上目遣いでお願いされた。
さっきといい今といい、このクソガキにこんな色気があったとは知らなかった。

しかし、これはなにか役に立つかも知れん。
リヴァイはニヤリと黒い笑みを浮かばせた。



「…解った、言わないでやろう」

「ホントですか」

「そのかわりに、


お前、俺の犬になれ。」



俺の聞き違いだろうか。
いや、確かにこの人は犬になれと言った。
それは、つまり…?



「俺の命令には忠実に従うこと。もし牙をむいたりなんかしたら、どうなるか解ってるよな……?」



そ、そんなあ……。


エレンはリヴァイの犬になった。



―――



長い廊下を一つの部屋に向かってただひたすらに歩き続ける。
エレンは自分より小さなご主人の後ろに着いて歩いた。
暫くすると目当ての部屋に到着した。

あぁ、やっと団長に会えるんだ!

ウキウキしていたエレンに突然降ってきた冷たい一言。



「エレン、待てだ」



―――え?



「え、なんでですか!俺も行きます!」

「口答えする気か、この駄犬。まあ俺はそれでも構わんが…」

「うッ」



エレンはご主人の命令に大人しく従うことにした。
逆らえばエルヴィンへの気持ちをバラされるからだ。

明らかに不服そうな顔をするエレンを見て、リヴァイは少し考えた。



「…言うこと聞けたら褒美をやる」

「褒美…?なにをくれるんですか?」

「それはお前が良い子にできるまでのお楽しみだ」



もしかしたら、団長に会わせてくれるかも知れない。
そんな微かな希望を祈りながらエレンは待つことを決めた。



「…エルヴィン、俺だ」

「リヴァイか。入れ」



団長の声だ。…会いたいなあ。

部屋の中へ入っていくリヴァイの背中を見つめる。
するとリヴァイがいきなり振り返り、もう一つ命令を下した。



「おすわり」



……きゃうん。
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