▼企画

□絡み合う糸を辿る
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さて、と一言、エルヴィンが重い腰をあげた。その行動に別段これといった意味はなさそうだが、話を進めるには立った方がいいと判断したのではないだろうか。

何にせよ、エルヴィンのその深い蒼の真相なんて解りはしないのだが。



「エレンをこのまま放って置くわけにはいかない」

「勿論だ」

「…まあ、楽にしてやるには、あれしかないが…。
それともハンジを探して解毒薬でも貰うか?」

「……エルヴィン」

「なんだリヴァイ?」

「……お前、どうせ解ってんだろ」

「………」



部屋に重い沈黙が走る。
エレンには二人の言っていることが全くと言っていい程理解できていなかった。
あれ、とはなんなのか?解ってるって、なにを?
途中、考えても無駄だという結論に至り、エレンは思考を止めた。というか、止めざるを得なかった。身体の奥から沸き立つ熱が徐々に温度を増して、それどころではなかったのだ。

それは、なにかを欲しているかのように。


「………」

「……なあ、」

「………」

「否定しないのか」

「…」



未だ黙秘を続けるエルヴィンに対して呆れたように溜め息を吐いたリヴァイの視線は一度自らの足許へ、それからエレンへ。
その三白眼はどこか哀しげで、この後の結末を知っているかのようで。

エレン、と名前を呼びながらゆっくりと近づいてくるリヴァイに短くはい、と返事をしたつもりだったが、それは苦しげに吐かれた吐息に掻き消されてリヴァイには届かなかった。
ほんの少し動いた唇からそれを読み取ったらしいリヴァイは、蕩けたエレンの金の瞳に視線を合わせるように身を屈めた。



「エレン、正直に話せ」

「リヴァイ、やめろ」

「お前は」



言葉を紡ぐリヴァイを妨害するように、後ろから伸びてきた大きな掌はその小さな頭を鷲掴みにし引き上げ、無理やり立ち上がらせた。

そして、静かに言い放つ。



「やめろと言った」

「…放せ」

「言うことを聞け、リヴァイ」

「放せっつってんだろ」
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