▼企画

□解ってるつもりでも
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「こんな、ガキの身体だけじゃ、足りませんか…?」

「……」

「ねぇ、兵長…」

「…言いたいことは…それだけか?」



やっと開いたリヴァイの口。そこから紡ぎ出された言葉は、どこか切なげで。先まで帯びていた熱は引き、冷静を装ったような、切なげな声。
底の見えない漆黒の瞳に映る自分はなんて情けない顔をしているのだろう。その瞳は、ずっとこんな自分を映して、一切逸らさずに。

首筋に当てた手を包み込むようにリヴァイの手が触れた。割れ物を扱うように、柔らかく、優しく。



「兵長…?」

「なら、今度は俺が言わせてくれ」



小さく頷けばそれを了承と見て取ったのか、フッと微笑み、握る手に軽く力を込めた。




「…いつになったら、愛してくれる?」



「……え?」



か細く、消え入りそうな声。そっと囁かれた言葉はエレンの胸を締め付けた。悲しいとか、苦しいとか、そういうのじゃなくて。
自分が、無意識にリヴァイを哀しませてしたという、恐怖から。

リヴァイの言葉を完全に理解しているわけではない。寧ろ半分も理解なんてできてない。こんなに愛しているのに、今までにたくさんの愛の言葉を紡いだというのに。愛し足りない、というのだろうか?
何にせよ、リヴァイにこんな哀しい顔をさせてしまったのは、紛れもなくエレンなわけで。



「なんで、そんなこと聞くんですか…?」



自分の声が震えているのが解る。
それを悟ったのか、リヴァイは握る手はそのままに、もう片方の手でエレンの頬を撫でながら下へ降下させていく。
繊細な指先が、自らつけた"愛"のひとつひとつを丁寧になぞって。



「……」

「……へいちょう…」

「…俺は、こんなにお前を愛してるのに」

「それは、」

「なのにお前は、いつまで経っても俺をお前のものにしてくれない」



優しく愛撫していた手が急に力を入れて、エレンの首筋に爪を立てた。いつもきっちり爪を切りそろえているため然程痛みは感じなかったが、与えられた圧迫感に息を呑んだ。
爪というより、指先が食い込む緊張感。
それでも不器用にそれを押し退けて未だ震えが止まない声を絞り出した。



「…っじゃあ、兵長は、誰のものなんですか?」
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